手元供養・自宅供養とは-遺骨は自宅に置いてはいけないのか

手元供養・自宅供養のイメージ 法要・供養

愛する人が亡くなっても、いつも側にいてほしい。そんな願いを実現してくれるのが手元供養自宅供養です。

手元供養とは自宅に遺骨の一部を自宅に保管する。あるいは遺骨をダイヤモンドなどの宝石に加工したものをアクセサリーのように身につける。いずれも、遺骨を常に身近に置いて供養することです。

手元供養をするには、まず遺骨を分骨して一部を散骨したり、墓所や納骨堂に納めたりします。そのうえで残りを手物に置いたり加工したりします。

一方自宅供養は、故人のご遺骨をすべて、自宅などの身近において供養するものです。

手元供養自宅供養が増加している理由としては、

1. 宗教的な背景や価値観の多様化により、個人的な信仰の形式が多様化していること。

2. 最近のコロナ禍による不安や、独居により孤独を感ずる人が増加していること。

3. 都市化や核家族化の進展に伴い、墓を作ってそれを守っていくという価値観が揺らいでいること。

などが挙げられます。

今回は、手元供養・自宅供養を考えている方のために、そのやり方、効用と起きやすい問題やデメリット、その法律問題までを詳しく解説します。

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手元供養とは

手元供養とは、自宅で個人的に小さな仏壇祭壇を設け、遺骨を安置して、故人の供養を行うことを指します。

通常ですと、人が亡くなった場合、仏教のやり方に従うと、葬儀、四十九日法要、一周忌法要、納骨、新盆、お彼岸の墓参り、一周忌といった手順で追悼・供養します。

ところが最近は、

● 親と同居せずに家庭を持つ人たちが増えた

● 住まいの欧風化から、お仏壇を家に置かない家庭が増えてきた

● 先祖のお墓が遠く、定期的なお墓参りが困難だ

● 様々な事情からお墓を建てられない

● お墓や仏壇はあるけどもっと身近で供養したい

などの様々な事情から、従来のしきたりや宗教的儀礼にこだわらず、形式に縛られない形で、故人を偲び、祈りを行える空間を作りたい、というひとが増えています。

このような人たちの想いを叶えてくれる方法の一つとして、遺骨を身近に置いて供養する手元供養が広がりつつあります。

遺骨を分骨して、大部分を納骨したり、散骨したりしたうえで、それにあわせて手元供養を選ぶ。

遺骨を小さな骨壷に納めて、それをやはり小さな仏壇におき、位牌に手を合わす、といったような形が好まれているようです。その数は徐々に増えてきています。

このようなお墓にかかわる問題からだけでなく、

気持ちの整理がつくまで故人をいつも身近に感じたい

いつも近くで見守っていて欲しい

思い出の場所に一緒に行きたい

他家へ嫁いでも、大切な人を近くに感じていたい

といったように、故人を身近に感じていたいということで、遺骨を自宅に置いていたり、身に付けたりして供養するために、手元供養を選ぶ人も増えてきました。

そのために、故人の遺骨の一部を小さな骨壺いれて自宅に保管する。あるいは、専用のアクセサリーに入れたり、遺骨をダイヤモンドなどの宝石に加工したりして身につけたりする、といった方法がとられています。

このように、「自分らしさ」を求めた新しい供養への希求が形となり、多くの人々に広がって定着したものが手元供養だと言ええます。

分骨

最終的に、分骨したご遺骨で残ったものをお墓や霊苑に納骨することを希望する場合は、分骨証明書が必要になる場合もありますので、葬儀社やお寺に事前に相談してください。

ところで、手元供養で遺骨が残るというのはどういうことでしょうか?

実は、手元供養で手元に置いたり、アクセサリーにしたりする遺骨は、ほんの少量です。そこで、手元供養をする場合は、まず分骨をして大小にわける必要があるのです。


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自宅供養とは

ところで、手元供養に似た供養の方法に自宅供養というものがあります。

故人のご遺骨を、自宅などの身近において供養する際に、すべてのご遺骨を残す場合を特に自宅供養と呼びます

一方、遺骨を分骨し、一部だけを残して手元で供養するのを手元供養と呼んで、区別する考え方が多いようです。

自宅供養は、自宅に遺骨を安置して供養することと考えれば、手元供養自宅供養の一種と言っても間違いではないと思います。

自宅供養のやり方としては、「骨壺のまま安置する」「後飾り祭壇を使い続ける」「収骨できる仏壇を購入する」などが挙げられます。

ここでは一般的な区別に従って、自宅供養は遺骨を全て自宅で保管して供養するもの、手元供養は分骨した一部を残して供養するものとしてお話ししていきます。

手元供養・自宅供養が広がっている理由

新しい供養の形が広がっている中、なぜ手元供養・自宅供養が増えているのでしょうか。理由として、自宅供養のメリットを挙げておきます。

● 喪失の悲しみを和らげられる

● 永く故人を身近に感じられる

● 宗教や様式にとらわれないで供養ができる

● 毎日お参りができる

お墓に納骨してしまうと、お墓参りの機会は命日やお盆などの機会に限られてしまいがちです。

自宅に遺骨があれば、時間や天候など拘らず、いつでも手を合わせることができます。手元供養・自宅供養をしていれば、お墓まで行かなくても毎日お参りができますから、これらは精神的に大きなメリットです。

費用がかからない

手元供養・自宅供養をすれば、お墓不要で購入費用を抑えられます。

お墓を建てる場合は、おおよそ数十万万円以上の費用が必要になります。

樹木葬や納骨堂の場合も、種類によりますが30~100万円程度が相場です。

手元供養・自宅供養の場合は、これらの費用を軽減できます。

子供や孫の代にお墓の負担を残さなくて済む

一般的な墓石のお墓を持った場合は、お墓の手入れや年間管理費の支払いなど、後の代に負担がかかります。

お墓を持たない手元供養・自宅供養であれば、子供や孫などにお墓に関するこういった費用の負担はありません


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手元供養・自宅供養の問題点

手元供養・自宅供養をするにあたって、覚えておくべき注意点を紹介します。

遺骨にカビが生えることがある

火葬された直後の遺骨は完全に滅菌状態で、そのまま骨壺に入れられます。遺骨は湿気やカビ菌に弱いため、保管の状態が悪いと遺骨にカビが生えます。

最終的にどこかへ納骨しなければならない

自宅供養していた人が亡くなった時は、残された人が供養する必要があります。もし、引き続き手元供養をしない、あるいは出来ないのなら遺骨をどこかに納めるか、散骨をして遺骨を処分しなければなりません。

身内や親戚に納骨を迫られることがある

親戚や身内が、納骨しないことに反対することがあります。自宅供養に反対する理由は、「納骨しないと成仏できない」というのが多いようです。

手元供養に関する俗説

手元供養のために分骨すると「体がバラバラになる」、ああるいは「納骨しないと成仏できない」というようなことを言われることがあるようですが、それら全く根拠のない俗説です。

詳細は下記の記事で紹介しています。

遺骨は最終的に散骨して手元に残さないということもできます。散骨については、下記の記事を参考にしてください。

手元供養・自宅供養の法律問題

結論から言ってしまえば、遺骨を自宅の仏壇で供養することは基本的に問題ありません。

遺骨やお墓については墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)という法律によって定められています。

ですが、この法律では遺骨を埋葬する期限などは設けられていません。他の法律でも同様です。

したがって、遺骨をずっと自宅で保管しても、法律的には問題がありません

なお、自宅の敷地や墓地以外の場所に「埋葬」すると、違法になります。墓埋法では、行政の許可を受けた墓地以外に遺骨を埋葬することを禁止しています

特殊な事情を除いて、自宅の敷地は墓地としての許可を受けていないので、自宅に遺骨を埋めると違法になります。


「墓じまい」「散骨」などの話題が羽鳥慎一モーニングショーで2023年9月から集中して取り上げられました。こちらの記事も参考にご覧ください。


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まとめ

手元供養・自宅供養に関して、以下の内容を紹介してきました。

手元供養・自宅供養はいずれも自宅に遺骨を安置したり、身に着けられるものに入れたり、あるいは宝石に加工して供養することをいいます。

自宅供養の方法は、「骨壺のまま安置する」「後飾り祭壇を使い続ける」「収骨できる仏壇を購入する」などが挙げられます。

自宅供養と手元供養の違いは分骨をするかどうかです。

手元供養・自宅供養で遺骨を自宅保管する際は、カビが生えないよう衛生面に注意しなければなりません。


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