羽鳥慎一モーニングショーで再び「墓じまい」が話題に|高額な離檀料の背景を追求

墓じまいのイメージ 墓じまい

先週、彼岸の入りの9月20日にテレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショーで「無縁墓」「墓じまい」「無縁遺骨」の問題がとりあげられました。

無縁墓」「墓じまい」「無縁遺骨」への関心が高いためでしょう、反響が大きかっかったということで、本日9月25日に再び「墓じまい」を中心とした話題が取り上げられました。

今回は墓じまいで問題になりがちな、お寺からの「高額な離檀料」の請求についてと、その背景にあるお寺の経営事情が詳しく語られました。

そこで、今回も番組を見逃された方のために、内容の紹介と感想を述べることにしました。

まず、先週の復習になりますが、墓じまいに関する悩みが語られました。さらに、番組に新たに寄せられたトラブルの実例が紹介されています。

ゲストは熊谷市にある曹洞宗の見性院住職の橋本英樹さんと、シニア生活文化研究所の小谷みどり所長です。

レギュラーコメンテーターは、石原正純さん山口真由さん玉川徹さんでした。


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新たに寄せられた墓じまいの悩み

まず、前回放送の後に番組へ寄せられた墓じまいについての悩みが紹介されました。

次の世代への継承

子供や孫の負担が心配。自分たちの責任でどうするか考えなくてはと思っている。


金銭問題 

元気なうちにお墓を管理できる場所に移したい。お寺の決まりで墓じまいや移転に300万円もかかる。悩んでいます。


親戚の反対 

今のうちに墓じまいしたい。親戚に反対されてなかなか進まない。

遠方の親戚が反対している。「墓じまいなんて罰当たりだ」と言ってきた。心身ともにきつい。


お寺の反応 

田舎のお寺に永代供養を頼んだら、「先祖や寺との縁切りか?」問われて悩んでいる。


家族の反応 

子どもたちはお墓が遠いから行かないと言っている。今まさに悩んでいる。

高度経済成長期以降に都会に出て、働き出した多くの若者が今、60代、70代となっています。自分が死んだ後にどうして欲しいか。そして、田舎のお墓はどうすべきなのかを考え始めているのです。

子供や孫、親戚やお寺に板挟みになって切実に悩んでいる姿がよく伝わってきます。

墓じまいの実状

墓じまいは着実に増えている

墓じまいなどで遺骨を別の場所に移す改葬が10年間で55%増加しているとのことです。

少子高齢化と都市と地方の二極化で、この傾向はしばらく続くものと思われます。(厚労省 衛生行政報告書から)

墓じまいイメージ写真
墓じまいイメージ

墓じまいにかかった期間

墓じまいというと完了させるまで長い時間かかるイメージがあるかと思います。実際には墓じまいまでにかかった時間で最も多いのは3ヶ月未満でした。

人生の中での重大な決断の一つですから、3ヶ月未満というのは特に長期間とは言えない気がします。

1年以上   18% 

1年未満   11.9% 

3ヶ月未満  42.3% 

1ヶ月未満  27.7%

                                            対象30歳以上の男女411人 鎌倉新書の調べ

墓じまいの一般的な流れ

墓じまいの流れは下記の順序で進めていきます。

  1. 親族での話し合い
  2. 寺や霊園に墓じまいを伝える
  3. 新しい納骨先を決める
  4. 墓石の撤去を依頼する石材店を決める
  5. 改葬許可申請の手続きを行う
  6. 閉眼供養を行う(お寺が管理するお墓の場合)
  7. 遺骨の取り出し、墓石の撤去
  8. 改葬先に遺骨を収める

(株)鎌倉新書「いいお墓」より

とんでもない手間がかかるケースもあった

ただ特殊なケースもあり、必ずしも順調に行くとは限りません。

愛知県の男性は特殊な事情で改葬許可証を得るために多大な苦労をしたそうです。

公営墓地の墓じまいで墓の所有者が亡くなった祖父のままだった。所有者変更のための火葬証明の取得。所有者変更のための火葬証明の取得などで、愛知から大阪に十数回通い半年ほどかかった。

墓じまい費用の内訳

墓じまいの費用は、墓石の撤去と遺骨の取り出し新しい納骨先の二つの場面でそれぞれ必要となります。番組で紹介された費用は下記のとおりです。

       墓石の撤去
撤去工事費用1㎡あたり8万円〜15万円
閉眼供養のお布施3万円〜10万円
離檀料10万円〜20万円
(株)エイチームライフデザイン お墓探しライフドット
                新しい納骨先
永代供養、樹木葬、納骨堂などの費用5万円〜100万円 (納骨先によって異なる)
開眼供養のお布施3万円〜10万円
手元供養・散骨数千円〜50万円
(株)エイチームライフデザイン お墓探しライフドット

手元供養・散骨の詳細についてはこちらの記事を参照ください↓

墓じまいのトラブル・悩み

高額な離檀料の請求

今回のテーマで最も時間をかけたのが高額な離檀料についてですが、これについて下記のような体験談が寄せられました。

墓に親族7人の骨が入っている。私も姉も家を出ているので寺に相談。一柱100万円で700万円プラス更地にする経費がかかると言われた。とても無理、不本意だが放っておくしかない。


墓じまいをした寺から、永代供養一柱100万円といわれた。さらに、会ったこともない檀家さんのまとめ役に、「菓子折りと5万円ぐらい渡してください」と言われた。

驚くような高額な離檀料が請求されていますが、これに対して、コメンテーターからゲストに質問がありました。これらの金額の根拠は何かとの質問でした。熊谷市の曹洞宗見性院住職の橋本英樹さんからは、

「一般的に離断料は10万円から30万円ほど。お寺は、墓じまいされると檀家が減りお布施収入が少なくなる最後の一稼ぎをしようとしているのではないか。」という、身も蓋もない答えが帰ってきました。要は明確な根拠はないのでしょう。何に使われるのかも明確ではありません。

また、シニア生活文化研究所の小谷みどり所長は「これでは墓を維持していることが負の遺産になってしまう」と、批判していました。

寺側の意見

前回も高額の離檀料が取り上げられ、さまざまな意見があったことに対して、現役の僧侶から番組に反論が寄せられていました。

「公営墓地は税金で撤去費用を賄ってもらえる。寺院は宗教施設なので援助を受けることができない。墓石の撤去費用が寺の収入になるわけではない。”坊主丸もうけ”という間違った考え方は改めてほしい。」

「うちの寺は離檀料などは一切いただいていない。遠方の檀家様には手紙等のやり取りでお付き合いをしたり、墓じまいもなるべく希望にそうようにしている。地域や宗教・宗派によって色々なケースがある。」

「離檀料などは全て檀家様たちの『お気持ち』としていただいている。高額な離檀費用を請求するお寺様も多いとは存じている。すべてのお寺が必ずそうだとは限らない。」

これら寺の関係者の皆さんの意見も納得できます。

橋本住職がいうとおり「お寺は同じ宗派でも違いがある。いわばお寺は個人商店のようなもの」なので、お寺だからといって全てが同じではないのでしょう。

もちろん全てのお寺が高額な離檀料を請求するわけではないですし、一柱100万円の請求というのはごく例外的なケースではないでしょうか。

高額な離檀料の請求にどう対応すればいいのか

檀家とお寺も最終的には人間関係ですから、日頃から檀家としてお寺さんと良好な関係を築いていたら、法外な請求もしにくいものなのではと思います。

また、小谷みどり所長のアドバイスに従って、墓じまいの報告に伺った際に、最初に法事のお布施の3回分程度を渡してしまうのも良い方法ですね。

それでも、交渉がうまくいかない場合であったり、そもそもお寺さんとは没交渉なのでお寺に行くこと自体が気まずい、というのであれば、墓じまいの代行業者にすべて依頼してしまうのもありだと思います。

司法書士さんなどの法律の専門家に依頼することもできます。墓じまい専門の代行業者に任せれば石材店の手配からお寺との交渉、新しい納骨先を探すことまでやってくれます。


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高額な離檀料の背景にあるもの

高額な離檀料問題の背景には何があるのか?

そこには、「お寺の経営難」があると番組では考えているようです。

では実際に、お寺の収支はどうなっているのでしょうか。

一般的なお寺の収入は主にお布施と護持費です。

お布施は葬儀や法事で檀家から受け取るお金

護持費とはお寺や納骨堂の清掃・供養などで檀家から受け取る年会費

お寺の損益分岐点は檀家300軒だそうです。

約300軒の檀家がないと寺の経営は成り立たないといわれているとのことです。

お寺のイメージイラスト

あるお寺の実際の収支

これはあるお寺の実際の収支状況です。

お布施        年間450万円

護持費        年間150万円

檀家が150軒で収入の合計が600万円 

修繕設備関連費     年間150万円 

花や供物・光熱費    年間100万円 

他の僧侶への謝礼    年間 50万円 

その他諸経費      年間100万円

        支出の合計が400万円

ある寺の現役住職の意見

このお寺の現役の住職は次のように窮状を訴えます

「『宗教法人は非課税』と言うが非課税なのは法人だけ。住職の所得は所得税がかかり年収は200万円を切る。妻子を満足に養えない。住職の中には教員の仕事をするなど『二足のわらじ』をはいている人もいる」

一方でゲストで出演した熊谷市の曹洞宗見生院の橋本住職は、お寺の経営改革で収入を5倍にしたそうです。

改革の柱は、檀家制度を廃止したことと、お布施などについて定価性を導入したことだそうです。

以前の収入は護持費、墓地利用権、法事、通夜・葬儀のほか「お盆の供養」「離檀料」などを含めて、年間収入が2000万円から3000万円だったそうです。

ところが改革後は、檀家制度を廃止したことで護持費がゼロになりましたが、墓地利用料、法事や通夜・葬儀のお布施が増え、さらに永代供養料と樹木葬が加わり、収入は1億5000万円になったそうです。

以前は寺の経営は檀家に依存していた。一方で、檀家は先祖代々のお墓があるお寺に縛られて信教の自由がない状態だった。現在では、檀家制度を廃止したことで「こんなお寺をさがしていました」と遠方から永代供養の依頼が来ることも増えたそうです。

こうなると立派な経営者ですね。見性院のサイトをみると、先見性とユニークさがあふれていて、これからのお寺が向かうべき一つの道筋を示しているお寺だということが良くわかります。

橋本英樹住職の曹洞宗熊谷市にある見性院の公式サイトはこちらです↓

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お墓が今のスタイルになったのはいつ

お墓が現在のようになったのは、いつからだったのでしょうか。実は歴史的な大災害がきっかけだったんです。

1923年に起きた関東大震災がそれです。震災で一部地域で墓石がほぼ倒壊してしまいました。

そして、復興のなかで、お墓のあり方も大きく変化しました。

まず、床面が土ではない耐震性のある頑丈な構造の墓が義務付けられました。

また、区画整理で既存の墓地の整理縮小が図られました。

それまでの個人墓や夫婦墓ではなく子孫に継承される「家の墓」が主流になりました。

この流れを加速させたのが、火葬の普及です。火葬の割合は下記のように変化してきましたが、お墓のあり方の変化にも影響を与えました。

火葬率
1913年31%
1947年54%
現在99.99%
絶滅する「墓」日本の知られざる弔い 鵜飼秀徳 NHK出版

これらの変化の結果、墓石の下に複数の骨壷を納められて、戒名をいくつも側面に刻める墓が普及(日本経済新聞8月20日)したんです。

まとめ

「『先祖代々の墓』というイメージがあるが、今のスタイルの墓が一般的に普及したのは約100年前のことなんです。墓の在り方は時代と共に変わって良いのではないか」と言うのは小谷みどり所長です。

墓は家屋と同じように霊魂の住処であるとする考えがあります。そうだとすれば、霊魂の存在否定する人にとっては墓は何の意味もないものだと言うことになります。

しかし、たとえそうだとしても生きている私たちにとっては、墓は先祖のことを懐かしく思い出す場所であり、先祖と語り合う場所であり、先祖に対して不孝を詫びるための場であるのだという意見にはハッとするものがありました。

今回はスタジオでの論議が白熱して、予定した話題がいくつか残ってしまいました。どうやら第3弾も近々ありそうです。


前回放送分についての記事はこちら↓

2023年10月2日に羽鳥慎一モーニングショーが「仏壇じまい」「位牌じまい」「散骨」をとりあげました。

墓じまいの費用が払えない場合の対処法についてこちらで解説しています。


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