手元供養とは、故人の遺骨を自宅などで大切に保管し、供養することを指します。自宅供養も同様に、自宅で故人を供養する方法を指します。
二つの違いは遺骨を分骨するか、しないかにあります。
手元供養の場合は、分骨した上で一部を自宅で祀る。あるいは宝石やオブジェにして身につけたり、身近に置いておきます。
一方、自宅供養は遺骨を全て自宅に保管しながら供養することとされています。
そこで、手元供養や自宅供養に興味があるけれど、具体的なやり方が分からない方へ、ここでその方法について説明していきます。
手元供養の方法として、遺骨をアクセサリーとして身につけるため、ダイヤモンドや他の宝石に加工する方法。
自宅供養のやり方として、小さな骨壷やオブジェに入れて家の中に置く、あるいは小さな仏壇や自宅供養専用のグッズを用意して供養するなどの方法を紹介します。
どちらの方法も、あえて墓を持たずに、故人を身近に感じながら供養することができるというメリットがあります。
手元供養の方法
ミニ骨壺やオブジェ型の容器に収骨する
手元供養の場合は、分骨して一部を小さな骨壷やオブジェに入れて自宅に置く方法があります。
● リビングにおいても違和感がなく、インテリアに溶け込むデザイン
● 一見して骨壷には見えない色彩やデザイン
● 法要や旅行へ持ち運べるサイズ
● 気密性を高い仕様である
最近のこういった要望から、デザイン性を高めたものから、遺骨を長期に保管するために、パッキン付き、ネジタイプのフタなど湿気を防ぐ工夫を施してるものまで、さまざまなミニ骨壺やオブジェ型の容器が販売されています。
遺骨をプレートやオブジェに加工する
身近に遺骨があることに対する違和感や、来訪者が遺骨を目にして驚かれることのないように、遺骨をプレートやオブジェに加工するという方法があります。見た目からは遺骨を連想させることがないので、自宅に飾っても違和感がありません。
プレートとは遺骨を加工して板状にして、故人の名前や生年月日、没年月日、イラストなどを印刷または彫刻したものです。
オブジェは遺骨をガラスなどの別物に加工するもので、ガラスの中に骨粉や、あるいはお骨を別成分と一緒に加工したものをいれて、美しいものに仕上げています。
また、水晶のようなデザインや、文字を入れて位牌のように加工してくれるものもあります。
いずれの場合も、加工するには遺骨を粉骨しなければなりません。粉骨とは遺骨をパウダー状に粉砕することを言います。
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遺骨をアクセサリーにして身に着ける
遺骨をアクセサリーにする場合は、遺骨を小さな入れ物に収納するタイプと、ダイヤモンドなどの宝石などに加工したものを使用するタイプがあります。
前者は、粉骨した遺骨をチタンなどの容器に収納して、ペンダントにするものです。 後者は遺骨を加工して、ダイヤ、サファイヤ、ダイヤモンドなどの宝石にしたもので、アクセサリーにして身に着けます。
自宅供養の方法

骨壺のまま安置する
まずは、骨壺のまま安置する方法です。
遺骨の置き場所は、仏間や仏壇の近くなどが挙げられます。
仏間、仏壇が無い場合は、リビングや寝室、クローゼットなどにおくことになります。
いずれにしろ、骨壺は寒暖差で結露して水がたまるので、直射日光の当たらない場所に保管しなければなりません。
後飾り祭壇を使い続ける
後飾り祭壇を供養壇にして、遺骨を安置・保管する方法があります。後飾り祭壇とは、通常命日から四十九日まで自宅に置いておく祭壇のことです。
後飾り祭壇は四十九日を目処に処分され、遺骨はお墓に納骨し、白木位牌は処分して本位牌を仏壇に置くのが通常です。
ですが、後飾り祭壇を一定期間後までに処分しないといけないということはありませんので、後飾り祭壇をそのまま遺骨の供養場所として利用することはよく見られます。
収骨できる仏壇を購入する
最近増えているのが、自宅供養用に遺骨を収納できる仏壇を購入して安置するという方法です。
このような仏壇には下部に収骨用の引き出しがついており、全骨収納できるものもありますし、幾柱かを小さな骨壷に入れて収納することも可能です。
スペースが小さい場合は、粉骨(遺骨をパウダー状に粉砕すること)が必要になることもあります。
普段は目につかないところに遺骨を収納できるので、来客などがあった際も違和感がありません。
また、サイズも台付きの比較的大きなものから家具の上に置ける上置き仏壇など、好みに合わせて選ぶことができます。 このような仏壇は従来の大きな仏壇と違い、デザイン家具調で洋風なものが多いようです。
仏壇をお探しなら、こちらのポータルをごらんください。
手元供養・自宅供養の短所・デメリット
遺骨にカビが生えることがある
火葬された直後の遺骨は完全に滅菌状態で、そのまま骨壺に入れられます。遺骨は湿気やカビ菌に弱いため、保管の状態が悪いと遺骨にカビが生えます。
そこで、保管の際は、寒暖差が少ない、直射日光が当たらない場所で保管する必要があります。湿気がたまりやすい押し入れ、水回りには遺骨を置かないようにします。
素手で遺骨を触らない、骨壺をむやみに開けないなどの注意が必要です。
最終的にどこかへ納骨しなければならない
自宅供養していた人が亡くなった時は、残された人が供養を継続する必要があります。もし、引き続き手元供養をしないあるいは出来ないのなら、遺骨をどこかに納めなければなりません。
面倒だからといって、投棄したり、放置したりするだけでなく、遺骨をゴミとして捨てたり、墓地でない場所に埋めたりすることもできません。
これらの行為は、墓地、埋葬等に関する法律や刑法第190条「死体損壊・遺棄罪」によって、処罰されます。
そのようなことにならないように、子孫の負担を考えて、自宅供養の期限と納骨先を決めておかなければなりません。
自宅供養の期限は、33回忌や50回忌が終わったタイミングや供養する本人が亡くなった時などが挙げられます。
納骨先は、家族のお墓があればそこに埋葬する。家のお墓がない・お墓の跡継ぎがいない場合は、永代供養墓を検討しましょう。
永代供養墓とは、墓地の管理者や住職が永代にわたり供養をしてくれるお墓です。承継者を必要としないため、誰でも安心して利用できます。
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身内や親戚に納骨を迫られることがある
親戚や身内が、納骨しないことに反対することがあります。自宅供養に反対する理由は、「納骨しないと成仏できない」というのが多いようです。
仏教の教義上では、納骨に関係なく四十九日の時点で十王の裁きを受け次の転生先が決まります。
ですから、納骨しないことを理由に、故人の魂がこの世をさまよい続けるというようなことはありません。
ただし、遺骨が身近にあることに畏怖の念や嫌悪感を感じる方や、遺骨が見える場所にあることで悲しみを引きずってしまう方もいます。
少なくとも、自宅供養には一緒に暮らすご家族の同意が必要です。
遺骨を最終的に自然へ返す場合は散骨をする、という方法があります。散骨については下記の記事を参考にしてください。
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手元供養・自宅供養に関する俗説
手元供養のために、分骨すると「体がバラバラになる」というようなことを言われることがあるようですが、それらは俗説です。
事実、お釈迦様自身は御自身のお骨を分骨しお祀りされています。
故人の魂はご遺骨に宿るものではありませんし、仏教では四十九日を過ぎれば仏様になるといわれています。
ですから、個人のご遺骨を自宅で保管することは法律では問題ありませんので、そのような俗説に惑わされる必要はありません。
墓じまいにかかる費用については、下記の墓じまいにかかる費用に関する記事で紹介していますので、こちらもご覧ください。
happy-ending-blog.com/grave-closing-cost/
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