墓じまいの正しい手順|必要な準備と行政手続きも詳しく解説

墓じまいイメージ 墓じまい

「先祖や親が入るお墓が地方にあり、管理や墓参りが頻繁にできない。」

「委託管理費や、お寺に払うお金もバカにならない。」

「そろそろ、墓じまいもありかも。」

そんなふうに、墓じまいを考えているシニアの方がとても多いですよね。かく言う筆者も故郷にある両親の墓じまいを真面目に考えているシニアの一人です。

そこで、墓じまいについて詳しく知りたいと言う方のために、墓じまいまでの一連の準備や手続き、起きやすいトラブルやそんなトラブルを回避する関係者との折衝の仕方、そして実際の墓じまいの流れについて詳しく調べましたので、私の経験談も交えながら解説したいと思います。

墓じまいを検討される方々が安心して手続きを進めるための情報をお届けします。

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墓じまいとは?注意点とメリット・デメリット

墓じまいとは、故人のお墓を撤去する手続きのことです。本章では、墓じまいの意味と背景から始まり、墓じまいを検討する際に知っておくべき注意点や、墓じまいのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

ここでは、墓じまいの全体的な流れを探り、具体的な手順を順を追っていき、墓じまいの準備や必要書類についても解説します。

墓じまいの意味とその理由

墓じまいとは、既存のお墓を撤去し、その中の遺骨を別の場所へ移動させる手続きです。

墓じまいが必要となるのは、墓の継続が困難になるなどやむを得ない場合から、自主的なものまであります。

例えば、都市化や開発の進展により、周囲の環境が変わり、お墓の場所が利用しづらくなった。

あるいは、道路の拡張やダム建設による水没、といった事例もあります。このようなケースでは、墓地が閉鎖され、その際には墓地と遺骨を別の場所に移動させなければなりません。

ただし、これらは特殊なため数はわずかで、墓じまいの多くは遺族の自由な意志によって行われるものです。

よくあるのは、

⚫️遺族が遠くへ移転したなどして適切な管理が難しくなった場合。

⚫️家族の人数が減少し、次世代以降にはお墓の維持や管理が難しくなることが予想される場合。

⚫️永代供養や骨壺による納骨など、お墓以外の供養方法に移行してお墓を撤去する意向の場合。

⚫️お墓を新たな形に再建するために、既存のお墓を撤去し、遺骨を移動させる場合。

こういった事情によって、墓じまいを決断することが多いようです。

様々な理由はありますが、現代ではお墓の管理は当事者一代限りの問題ではなくなっていることが、墓じまいが増えていることの要因のようです。

つまり、少子化で子どもや孫の数が減少化していくのは明らかなので、次の世代に精神的、経済的な負担をかけたくないというのが根底にあるということだとおもいます。

私のケース

私の両親のと妹が眠る墓は父が建立したものですが、地方にあるために墓参りをするには泊まりがけとなります。永代供養をしてくれる臨済宗のお寺にあり、身分不相応と思えるほど立派なものです。

私と弟二人の代はまだ良いのですが、悩みは次の世代と次々世代が先細りなことです。三人兄弟に子供の世代が二人、孫も二人だけしかいません。全員首都圏にいますので、彼らに継承を委ねても良いのか思案している最中なのです。

このような事情を抱えていますから、同じような状況で墓じまいを考えるひとが増えているであろうことは容易に想像がつきます

墓じまいのメリットは?

墓じまいから得られるメリットは下記のようなことが挙げられます。

⚫️ 遺骨を自宅近くに改葬、あるいは自宅で保管すれば供養がしやすくなる

⚫️ お墓の維持管理などの負担が減る

⚫️ 無縁墓になる心配がなくなる

⚫️ 子どもなどの継承者に負担をかけなくてすむ

などが挙げられます。

墓じまいデメリットは?

では、墓じまいにはデメリットはないのでしょうか?その点も配慮しなくてはいけません。

デメリットやリスクには、主に以下のようなものがあります。

墓じまいの費用は意外に大きいこと

 費用がかかるのは、墓の撤去、遺骨の洗浄、搬送など専門家に依頼する必要があること。離檀料といてってお寺に支払うお金など、予想外に出費が多いことからです。

墓じまいにかかる費用についてはこちらの記事をご覧ください。

親族とトラブルになることがある

お墓の管理者が自分であっても、親族が墓じまいそのものに反対するケースや、墓じまいの費用負担を嫌がるケースなどもあります。

寺院とのトラブル

感情の行き違いなどお寺との関係性が悪化していることから、離檀する際に高額な離檀料を請求されるケースなどがあります。

納骨先とのトラブル

永代供養墓などで合祀されると遺骨を取り出せなくなるので、注意が必要です。

墓石の撤去、処分をめぐってのトラブル

石材店など、墓石の撤去、処分のトラブルでは、料金をめぐる問題や、墓石が適切に処分されないなどのケースが挙げられます。業者の選定は慎重にすべきです。

トラブルの回避

当事者間のトラブル回避には、それぞれ相手方との関係性をいかに調整するかがポイントになります。

墓参りイメージ
墓じまいには親族の理解が重要です

墓じまいの事前準備と届出

墓じまいは故人のお墓を撤去する重要な手続きであり、その流れを正確に把握することはスムーズな進行に欠かせません。

本章では、墓じまいの流れについて詳しく解説していきます。まず、墓地管理者への通知墓じまいの手続きの概要について説明し、一般的な手続きの流れを理解することから始めます。

親族間で相談し、事前に同意を得る

墓じまいの手順でまずすべきことは、親族や親戚の合意を得ることです。

特に、費用負担をお願いするのであれば、事前の承認は不可欠です。

お墓を管理する人を祭祀承継者と呼びます。先祖を祀るための財産を管理し、実際に祭祀を行う人です。

通常ひとりで、墓を管理するので、墓じまいなども本来独断で行えますが、ひとりで決めってしまったりしないで、親族が納得した上で、手続き進めましょう。

新しい受け入れ先も供養やお参りをする上で重要な要素になりますから、事前承認の同意事項に含めておきましょう。

改葬に必要な手続きや書類を確認する

墓じまいには、お墓に納められた遺骨を他の場所に移動させるときに必要な改葬許可証という書類が必要です。改葬許可証を発行してもらうには、自治体に申請する必要があります。

墓じまいを進めるには、様々な手続きが必要となります。墓じまいは法的な手続きや行政手続きが伴うため、適切な手続きを理解しておくことが重要です。

後述の改葬許可証を取得するために、「改葬許可申請書」「埋葬(埋蔵)証明書」「受入証明書」を用意します。これらの書類を取得するための手続きが必要になります。

そもそもなぜ墓じまいに、煩雑な手続きや許可が必要なのでしょうか?

もし、遺骨が好き勝手に墓所から持ち出されることを許せば、国民の宗教的感情を害し、公衆衛生上も好ましくないと考えられたからです。

そこで、市町村長(特別区の区長を含む)の許可制にして、違反者には懲役または罰金で処罰されるとしてそういった行為を防ごうとしているのです。

現在の墓地管理者へ改葬の意思を伝える

檀家としてお寺の墓地で供養されていた場合は、離檀と言う形をとるのが普通です。後々、お寺とのトラブルにならないよう、事情や理由を丁寧に伝えることが大切です。

墓地管理者は、寺院墓地の場合はご住職。公営・民間霊園の場合は霊園管理事務所。共同墓地の場合は墓所の管理組合が設置されていたり、地域住民により当番制になっていたりする可能性があります。

墓地管理者から埋蔵証明書を取得します。役所に提出するもので、改葬許可証取得のために必要です。

お墓の管理をしているのがお寺なら、お寺に墓じまいの意向を伝えることが大切です。

檀家からのお布施や寄付・寄進などによって経営されているのがお寺です。墓じまいは、檀家を離れることを意味しますから、お寺にとっては一大事です。

事前に話し合い、できるだけ迷惑をかけないようにしなければなりません。話す際にはまず、これまでの感謝の気持ちを伝えてから墓じまいの理由を丁寧に説明することが重要です

長い間お世話になったお寺との関係を大切にしながら、話を進めていきましょう。

埋蔵証明書(埋葬証明書)…現在の墓地にご遺骨が納骨されていることを証明する書類。

新しい納骨先を決める

ご遺骨の受け入れ先(新しい納骨先)に納骨日程を事前に相談して決定しておきます。

新しい納骨先としては、

  • 一般墓への改葬
  • 永代供養墓への改葬
  • 手元供養
  • 海洋散骨

などがあります。

遺骨の行き先として、永代供養をしてくれる施設が選ばれることが多いようです。

新しい納骨先と契約を完了し永代使用許可書を得た後に、新しい納骨先に受入証明書の発行を依頼します。

他にも、永代供養をしてくれる場所以外の散骨手元供養などの方法があります。

散骨については下記の記事を参考にしてください↓

改葬許可証を取得する(行政手続き)

お墓の撤去・改葬の手続きは、まずは市区町村の所轄行政庁に申請書を提出するところから始まります。自治体に赴いて遺骨を移す際に必要な改葬の手続をしなければなりません。

手続きの内容は地域によって異なるので、各市区町村役場に確認してください。 手数料はかかりますが、わずかな金額です。

墓じまい作業から納骨まで

遺骨の移動と改葬の際には、一定の手順と手順に従うことが重要です。

墓石の閉眼供養(魂抜き)、ご遺骨の取り出し

お寺が管理する墓地では、お墓の撤去に特別な法要(閉眼供養)が求められる場合もあります。

閉眼供養の目的は、故人の魂を天に還すことや、ご遺族の罪悪感を軽減することです。閉眼供養の流れや費用は宗派や寺院によって異なりますので、詳しくはお寺に確認しましょう。

墓石の撤去・解体工事、使用権の返還

墓じまいの際の手順は以下の通りです。

1. 墓石の撤去・解体工事
墓石の撤去と解体工事は、専門業者が墓石や墓の周辺を丁寧に解体し、石材を適切に取り扱います。解体作業は慎重に行われ、周囲への影響を最小限に抑えるための工程です。

2. 使用権の返還
墓石が撤去された後、墓地管理者に使用権を返還します。使用権の返還には一定の手続きが必要で、墓地管理者との連絡や必要書類の提出が行われることで、墓地内での使用権が解消されます。

墓石の処分イメージ
墓石は適正に処分されなければなりません

移転先へ改葬許可証を提出する

遺骨を新しい場所に埋葬する際には、墓地管理者に「改葬許可証」を提出します。

新しい場所での再埋葬が合法であることを示すものですから、これによって再埋葬が法的に承認され、遺骨の適切な管理と移動が確保されることになります。

新しい受け入れ先に納骨

ご遺骨の受け入れ先(新しい納骨先)に納骨します。

新しい納骨場所が一般墓、永代供養墓、納骨堂の場合、必要に応じて住職に開眼供養を依頼しておきます。

新しい墓所に納骨しないと決めた場合は、自宅供養といって、自宅で遺骨を供養する方法があります。また、海洋散骨や山林散骨で遺骨を残さないという選択もあります。

墓じまいにかかる費用についてはこちらの記事をご覧ください↓

まとめ

墓じまいに関する要点をまとめます。

墓じまいは、既存の墓を撤去し、遺骨を別の場所に移動させる手続きで、都市化や墓地閉鎖、遺族の意志によるものなど様々な理由で行われます。

墓じまいが行われるのは、周囲の環境変化や墓地の閉鎖、遺族の希望などによってです。

墓じまいの多くは、遠隔地への転居や墓地維持の困難、お墓以外の供養方法への移行など、遺族の意志によって行われます。

墓じまいのメリットには、遺骨の保管場所の自由度向上や負担軽減、無縁墓になることの回避などがあります。

一方、墓じまいのデメリットとしては、費用負担や親族とのトラブル、寺院や納骨先とのトラブルなどが挙げられます。

墓じまいを進める際の事前準備として、親族の同意取得や納骨先の決定、改葬許可証の取得が重要です。

具体的な手続きには、埋蔵証明書の取得や新しい納骨先の契約、改葬許可証の申請が含まれます。

墓石の撤去や遺骨の受け入れ先決定、改葬許可証の提出が墓じまい作業から納骨までの主要なステップです。

墓じまいには、関連する法的手続きやトラブルの回避などが含まれますが、事前の計画と慎重な手続きを通じて遺族の意向や故人の遺志を尊重しつつ、円滑に進めることが重要です。


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また、墓じまいの代行についてはこちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧ください。↓


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