親しかった方の四十九日法要の案内状を受取った。法要は葬儀やお通夜と違って、招待を受けて参列するものだから、招待されたら出席するのがマナーだと聞いている。そこで、なるべく都合をつけて参列したい。でも正しいマナーについては自信がない。
そんな方のために、今回は四十九日法要での供花・供物の選び方、のし紙の書き方、卒塔婆供養についてしっかりと掘り下げて解説したいと思います。
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四十九日法要の供物・供花
法要に参列する際、お香典とは別に故人の霊をなぐさめるために供える供物(お供え物)を持参する風習があります。
特に四十九日法要は、故人や遺族にとって大切な節目の行事ですから、供物を持参する場合は事前にしっかり準備しておかなければなりません。
また、四十九日に招待されても、やむを得ない事情で出席できないときは、供物や供物料は送ってもよいとされています。ただし、招待されていなのであればその必要はありません。
最近の傾向として、自宅で法要を営む場合は供物や供花を、自宅以外では、施主側の負担を助ける意味で供物料(現金)を包むことが多くなりました。
供物としてふさわしいもの
供物にはどんな品物を渡せば良いのか、どのくらいの金額がふさわしいか迷うと思います。ここでは供物の選び方や、渡し方のマナーなどについてご紹介します。
一般に供物はあとに残らない、消えてなくなるもの(消えもの)が良いとされています。
定番は、消耗品としての線香、ロウソク、菓子、果物などです。食品は果物、焼き菓子、煎餅、ゼリー、まんじゅう、羊羹、蒲鉾、佃煮などです。飲み物であれば酒、お茶などです。
供物にふさわしくない品物
供物にするのにふさわしくない品物がいくつかあります。
殺生を連想させるもの
仏教では殺生をきらいますので、肉や魚などの殺生を連想させるものは避けたほうが無難とされてきました。ただし、最近はそれほど厳格ではありませんから、故人の好みも考え、どうしてもという場合はお寺に相談してから用意すると良いでしょう。
香りの強すぎるもの
香りの強すぎるお花は避けます。バラなど棘のある花は手入れがしにくいですし、香りの強い花を好まない方もいらっしゃるため避けたほうが良いでしょう。
定番のゆりも香りが強いので、花屋さんに言えば香りの元であるおしべの処理をしてくれます。
同じ理由で、果物でも香りの強いものは避けます。旬のものが喜ばれますが、傷みやすいものや果汁が出やすいものはお供え物には向きません。
供物を選ぶポイント
供物はかさばらず、分けやすい個包装になっているものが喜ばれます。これは、地域によっては供養の一つとして、法要後に「御下がり」として、持ち寄られお供えされているものを、最後に参列者に配るケースがあるためです。
ということで、初から小分け包装されていないものや、重たいものは避けたほうが無難ですし、分配のしやすさを考慮すると、多種類のお菓子の詰め合わせよりも1種類が多数入っているものの方が良いかもしれません。
お供え物に食べ物を選んだ場合は日持ちを重視しましょう。特に夏場は劣化が早いですから、賞味期限が最低でも1、2週間はあるものが良いでしょう。
お菓子
供物として特によく選ばれるのがお菓子です。洋菓子でも和菓子でもどちらでも構いません。日持ちが良く故人が好きだったお菓子を用意する方が多いようです。
果物
果物を供物として持参する人も多くいます。果物はバラで用意するのではなく、カゴに盛られているものを選択するようにします。
果物の中でも、特にリンゴや梨、グレープフルーツ、メロンなどの丸い形状のものが好まれます。これは、魂の形が丸いといわれていることに起因しているためです。
なお、細かなことになりますが、果物の個数については、偶数は割り切れることから、「故人との縁が切れる」とされることがあります。そのため個数は、奇数にすることが勧められます。
死や苦を連想させ、不吉な数字といわれる4、9を除いた5、7、11個程度が目安です。
線香やろうそく
線香やろうそくも供物の定番です。煙が極楽浄土への道しるべともいわれ、お墓参りなどの仏事にも、毎日の供養にも使用できるので遺族からありがたがられます。
線香には香料が入っているものや煙の少ないもの、廉価なものから高価なものまで、さまざまなタイプが売られています。購入する前に遺族の好みをリサーチしておくと良いでしょう。ただし、あまり香りの強いものはNGです。
供花
花は、祭壇を飾るという大切な役割を担うため、お供えに相応しいもののひとつです。四十九日が過ぎるまでは、白を基調とした淡い色合いのものがよく選ばれます。
種類としては白菊が最も無難ですが、最近では胡蝶蘭、ユリなど洋花を贈ることも増えてきています。故人の好きだった花であれば、白にこだわらずに選んでも問題ありません。
また、アレンジメントされた花を贈ることも問題ありません。きれいなだけでなく、花瓶を用意する必要がなく、そのまま飾れるという点でも選ばれるようです。また、手入れが不要で長持ちするプリザーブドフラワーを使ったお供え用のアレンジメントもあります。
供花は生花で1万5000円、花環で1万円くらいが相場です。
お酒
故人が生前、お酒好きだった場合、お気に入りの銘柄のアルコール類などをお供えすることがあります。ただし、宗派や地域の慣習によっては好ましくないとされるケースがあるので、事前に施主などに確認しておくのが安心でしょう。また、遺族がお酒を飲まない場合は、処分にも困るため避けた方が良いでしょう。
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供物・供物料の相場
お供え物の金額は、高すぎると遺族に気を遣わせてしまいますし、低すぎても失礼にあたります。
概ね3,000円から10,000円の間になります。
親族間で既に金額を決めていたり、地域によって違いがあったりするので、周囲と相談しながら包む額を決定するのが良さそうです。
表書き 仏式は「御仏前」「御供物料」など。神式は「御玉串料」「御霊前」など。キリスト教式はカトリック、プロテスタントとも「御花料」です。
法事には本来、線香、ろうそく、菓子などの供物や供花を持参するものでしたが、最近は供物料(現金)を包むことが多くなっています。
供物料の金額は地方によっても違いますが、
故人と血縁関係がある場合は10,000円〜30,000円
故人と血縁関係がない友人などは5,000円〜10,000円
その中でもお世話になったという方は10,000円〜30,000円
が相場になっています。
また、お斎(料理)と引き物(みやげ)が見込める場合は、合計で10,000円くらいになるので、これらの相場よりも上がります。
故人と血縁関係がある場合は20,000円〜50,000円
故人と血縁関係がない友人などは10,000円〜30,000円
その中でもお世話になったという方は30,000円〜
熨斗(のし)紙
供物を包む包装紙は地味なものを選び、弔事用の「熨斗(のし)」を付けます。熨斗とは白地に水引が印刷された掛紙のことで、四十九日までは白黒、四十九日以降は双銀の「結びきり」の水引のものを使用します。
「結びきり」には不幸が続かないよう断ち切るという意味があります。デパートで購入する場合は「四十九日のお供え物にします」と一言添えて包んでもらえば適した包装紙に熨斗がけをしてくれます。
ただし関西など一部の地域では一周忌からは黄白の水引を使う場合もあるため、常に白黒ではないことを念頭に、地域の慣習に従うように、注意してください。
熨斗の表書きは、四十九日であれば上段に「御霊前」と書くのが正式ですが、死後すぐ仏になると考えられている浄土真宗では「御仏前」と書きます。
よくわからない場合は、「御供」「御供物」「御香料」「志」のどれかであればどの宗派でも対応可能です。
下段に参列者の代表者名を名字もしくはフルネームで記入します。 夫婦で参列する場合、基本的には夫の氏名のみを載せますが、妻側の法要であれば妻の名前も併せて記入しておくのが親切です。
この際、通夜や葬儀のときとは異なり、四十九日用は薄墨ではなく黒墨を使用して書くものとされています。
薄墨には、急な訃報に涙してしまい墨が薄くなったという意味があるので、あらかじめ決まっている法要である四十九日法要において、薄墨は適さないのです。
注意としては、熨斗は包装紙の上にかける「外のし」にすることです。包装紙の下にかけてしまうと誰からのお供え物かわからなくなってしまいます。
供物の渡し方のマナー
供物は、自分で直接仏壇に置いてはいけません。施主にお出迎えいただいたときに「本日はお招きいただきありがとうございます」と挨拶すると同時に、「御仏前にお供えしてください」などの言葉を添えてお渡しします。
紙袋に入れて持参した場合は、紙袋ごと渡すのではなく、中身だけをお渡ししましょう。風呂敷に包んで持参するとより丁寧です。その場合も風呂敷から取り出して中身だけお渡しするようにします。
供物を送る場合
四十九日法要に参列できない場合、郵便や宅配便で供物を渡します。デパートやインターネットで供物を購入すると、無料で仏事用の包装をしてくれます。水引は黒白結びきりで印刷されており、水引の下に名前も書いてもらえます。
届ける場合、運送中の破れや汚れを防ぐため、掛け紙の上にもう一枚運送用の包装用紙を使用することがほとんどです。お店によっては包装紙やビニール袋など選べる場合もあるので、相談してみるのをおすすめします。
四十九日の供物を送るタイミング
四十九日の供物はどのタイミングで送るのが正解でしょうか。法要当日は遺族が忙しいこともあり、荷物が当日に受け取れないこともあります。まず、遺族にいつ、どこ宛に送るのが好ましいかを聞くと良いでしょう。一般的に法要の当日に自宅宛に送ることが多いようです。
また、お花を送る場合は、法要当日に斎場やお寺に送る場合もあります。
お供え物に添える手紙の書き方
お供えを送る際には、一緒に手紙を添えます。デパートやインターネットで購入する場合でも追加でメッセージカードを付けられる場合が多いようです。
お手紙には故人とその家族を思いやる文章。また、「重ね重ね」「ますます」などの言葉を重ねるのは不幸が重なるイメージとなるためNGです。同様の意味で、封筒に手紙を入れる場合には二重封筒は使いません。
また、文面に季節の挨拶は入れません。
お供え物に添える手紙の文例
例 1. 謹んでお悔やみを申し上げますとともに 心からご冥福をお祈りいたします。
例2. 心ばかりの花を贈らせて頂きました。謹んでお悔やみ申し上げますとともに、ご遺族の皆様のご健康をお祈り申し上げます。
四十九日法要に呼ばれていない時のお供え物は?
四十九日法要に呼ばれていない場合、お供え物を送るべきか迷いますよね。実際には、呼ばれていなければお供え物は原則不要です。
参列する親族や友人の負担を考えて、四十九日法要を少人数で行うこともあります。お供え物は必須ではないものの、故人と深い関係だった場合には送ってもかまいません。
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卒塔婆供養
卒塔婆とは、故人を供養するためにお墓に立てられる縦長の木の板のことで、古代インドで使われていたサンスクリット語の「ストゥーパ」が語源であると言われています。
卒塔婆供養を行う場合には、僧侶へ依頼をして卒塔婆に経文、戒名、梵字、建立日などを書いてもらう必要があるため、事前にお寺へ連絡しておく必要があります。浄土真宗以外では卒塔婆を立てますが、参列者が供えるものとされています。
卒塔婆の金額は地域や寺院によって異なります。一般的な供養料の目安としては1本あたり3,000円〜10,000円程度が相場となっています。
卒塔婆供養を行う方が複数名いる場合には、事前に施主に卒塔婆料を渡し、施主から「卒塔婆料」として包んだものを僧侶へ渡します。または、あらかじめ施主を通じて寺院に依頼し、法要の当日、供物料とは別に「御卒塔婆料」として施主にわたします。
神式では「御玉串料」「御神饌料」「御神前」とし、仏式の不祝儀袋は使わないように注意します。
まとめ
四十九日の法要では、故人の霊をなぐさめるために供物を持参する風習があります。最近では自宅で法要を営む場合は供物や供花を、外で行う場合は供物料(現金)を包むことが一般的です。
供物には消えものが好まれ、定番として線香、ロウソク、菓子、果物などが挙げられます。供物には殺生を連想させるものや香りの強すぎるものは避けるべきです。供物はかさばらず、分けやすい個包装のものが好まれます。お菓子や果物、線香、ろうそく、供花などが一般的な供物です。
供物・供物料の相場は概ね3,000円から10,000円の間になります。親族間や地域によって金額が異なるため、周囲と相談しながら決定することが良いでしょう。
法事では最近は現金の供物料を包むことが一般的であり、故人との関係によって金額が異なります。
熨斗紙は地味なものを選び、四十九日までは白黒の熨斗、四十九日以降は双銀の結びきりの熨斗を使用します。関西など一部の地域では黄白の水引を使用することもあるため、地域の慣習に従って選ぶ必要があります。熨斗の表書きは宗派によって異なりますが、「御供」「御供物」「御香料」「志」などが一般的です。
参列者の代表者名は下段に名字またはフルネームで記入し、四十九日用の熨斗は黒墨を使用します。また、熨斗は包装紙の上にかける「外のし」とすることに注意が必要です。
供物の渡し方のマナーについて要約すると、以下のようになります。
1. 供物は自分で直接仏壇に置かず、施主にお出迎えいただいた際に挨拶と共に渡す。
2. 紙袋に入れた場合でも中身だけを渡す。風呂敷で包んで持参するとより丁寧。
3. 四十九日法要に参列できない場合は郵便や宅配便で供物を渡す。包装紙やビニール袋など選べる場合もある。
4. 法要当日や斎場にお花を送る場合もある。
5. お供え物には手紙を添える。故人と家族を思いやる文章を書く。重ねた言葉や季節の挨拶は避ける。
6. 四十九日法要に呼ばれていない場合、お供え物は原則不要。関係が深い場合には送ってもよい。
7. 卒塔婆供養では、卒塔婆に経文や戒名を書くために事前にお寺へ連絡が必要。金額は地域や寺院によって異なる。
8. 神式では「御玉串料」「御神饌料」「御神前」を使い、仏式の不祝儀袋は使わない。
これらのマナーを守ることで、供物の渡し方において丁寧な対応ができます。
四十九日法要の主催するやり方、マナーについてはこちらの記事もご覧ください。
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