故人を「偲ぶ会」や「お別れ会」を葬儀とは別に開催したいー失敗しないやり方

故人を「偲ぶ会」や「お別れ会」を葬儀とは別に開催したい 偲ぶ会・お別れ会

参加者が限定される家族葬や直葬が急激に増えたことで、葬儀に参列できなかった方達に集まっていただき、故人を偲ぶための「偲ぶ会」「お別れの会」が開催されることが多くなりました。

葬儀のように型式張ったものではなく、故人の意向や主催者の思いを尊重して自由に組み立てられ、より「その人らしい」お別れができることが、広く受けいれられた要因のようです。

そこで「偲ぶ会」や「お別れの会」について、会の形式と流れ、会場、費用、案内状の内容など、会を計画する際に気を付けること、失敗しないやり方を解説します。

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故人を「偲ぶ会」または「お別れ会」とは

故人を「偲ぶ会」や「お別れ会」は葬儀を近親者だけで執り行った直後や数日経ったあとに、改めて故人とのお別れをする会のことです。

ホテルやセレモニーホールなどの施設に、故人の友人・知人など特に親しい方を招き、一緒に故人を偲ぶことを目的とするものです。

また、最近は葬儀なしで、「偲ぶ会」「お別れ会」だけが開催されることもあるようです。

よく「偲ぶ会」と「お別れ会」と何が違うの、といった質問があります。故人を偲ぶ会は四十九日法要以降にも挙行できるのに対し、お別れ会は四十九日法要に至るまでに挙行するものとして、区別している場合もあるようです。

ですが、内容としてはどちらも同じと思って問題ありません。

主催者は誰

「偲ぶ会」「お別れ会」は親族だけでなく友人、会社の同僚、さらには故人が勤務していた会社や所属していた団体などが主催して開かれます。

「偲ぶ会」「お別れ会」の主催は一般の人でも大丈夫なの?

故人を「偲ぶ会」や「お別れ会」と聞くと、芸能人や著名人など、何か特別の人のものと思われる方もいらっしゃるようです。

芸能人や著名人のお別れの会は、葬儀の後に一般のファンのために行われることが多く、ニュースなどで取り上げられるので、そのようにとらえられるのも無理はありません。

偲ぶ会やお別れ会は、決して芸能人や著名人だけのものではありません。

様々な理由から、故人とのお別れができなかった方々にお別れの場を設けたい、あるいは故人が生きた証をそれぞれの心に遺るように見送ってほしい。

そういった理由から、最近は一般の人たちの間でも広く行われるようになっています。

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「偲ぶ会」「お別れ会」を開催しようと思い立ったら

お別れの新しいカタチとして「故人を偲ぶ会」が広まってきたといっても、まだまだなじみが薄いことから、何をどのように進めたらいいのかまったく分からない……という方が多いのも事実です。

もし、大切な方を偲ぶ会を開きたいと思ったら、下記のことを決めていきます。

決めるべき項目は

  • 名称
  • 形式
  • 開催日程
  • 費用・会費
  • 会場
  • ドレスコード
  • 招待者
  • 案内状

順番に解説していきましょう。

会の名称は?

偲ぶ会の名称は自由です。「偲ぶ会」や「お別れの会」「送る会」がよく使われる名称です。故人の名前を冠して「○○○○を偲ぶ会」と名付けることもあります。どれでも問題ありません。

故人を偲ぶ会の形式

偲ぶ会を主催する際は、まずセレモニー形式か、会食パーティー形式にするかを決めましょう。形式によって、開催にかかる費用や日程・会場などの準備は異なってきます。

セレモニー形式

セレモニー形式の偲ぶ会は、告別式に近い形で行う比較的フォーマルな会です。会場正面に祭壇と故人の遺影写真生花を飾り、祭壇の前に参列者用の座席を並べるなどの方式がとられます。

セレモニー形式は式次第をしっかりと組み立てて、司会進行に従って執り行うことが特徴です。偲ぶ会を厳かな雰囲気の中で行いたい場合は、セレモニー形式が適しています。

会食パーティー形式

会食パーティー形式の偲ぶ会は、式次第の中に会食を組み込んだ比較的カジュアルな会です。会場正面には祭壇などが飾られているものの、テーブルと料理も用意して、参列者が会食を楽しめるようにしています。

会食パーティー形式では、参列者による献花や退出のタイミングは自由であることが特徴です。式次第の進行も和やかな雰囲気の中で行い、故人の遺族と知人・友人が互いに思い出を語り合う時間を取れます。

偲ぶ会には、セレモニー形式で故人とお別れをしたあとに会食を行うといったミックス形式も存在します。故人の偲ぶ会にはどのような集まりがよいかを考えて、適した形式を選びましょう。

開催日程は?

すでに述べたように、「偲ぶ会」の他に「お別れの会」という言葉が使われることがあります。

四十九日までに開催するのが「お別れの会」で、「偲ぶ会」は四十九日以降や一周忌、三周忌にあわせて開催されるもの、として区別すべきという考え方もあります。

いずれも葬儀後に行われるものであり、比較的新しい言葉ですから、それほど厳密な区別ではありません。さらには、時期が限定されるものではないため、年忌法要にあわせて行うことも可能です。

開催費用は?

故人を偲ぶ会にかかる費用は、会場の規模と招待人数、企画・演出・食事スタイルなどによって変動します。故人を偲ぶ会にかかる費用相場は下記の通りです。

故人を偲ぶ会の費用相場

参列者の人数×10,000円~20,000円

ただし実際には、「偲ぶ会」は会費制で主催して、参列者に会費を支払ってもらう形が多い傾向にあります。会費制における参列者の会費相場は、事項のようになっています。

参列者の会費相場

1人あたり8,000円~15,000円

上記の金額は、「偲ぶ会」の費用相場における1人あたりの金額(10,000円~20,000円)と近くなっています。

費用の大部分は会費によって賄うことが可能であり、主催者側の費用負担はそれほど大きくありません。

参列者に支払ってもらう会費は、葬儀における香典の代わりと言えます。会費制で主催した偲ぶ会では香典を受け取らず、案内状にも香典は不要であることを明記しておきます。

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故人を偲ぶ会の実施場所

 ホテル

高級ホテルイメージ写真
高級ホテルで開催

駐車場、宿泊、飲食など様々な設備が充実しているので、大規模な会の開催に適しています。

最近は「故人を偲ぶ会・お別れ会」の開催が増えたことで、運営ノウハウを蓄積しているホテルも多く、様々な要望に応えてくれるといった長所があります。

ただ、他の施設に比べて費用が割高になりがちです。

 セレモニーホール

セレモニーホールは葬儀や法事を執り行うための専用施設ですから、宗教や宗派、宗教色なし、を問わずさまざまな形式のお別れの会に対応できます。

運営ノウハウがあること。お別れをするための設備が整っているため利便性が高いこと。比較的安価で使用できる。というメリットがあります。

 多目的ホール

公的機関が運営し、さまざまな用途使用を目指した多目的ホールも会場になります。さまざまなタイプのホールがあり、ホールの特長に合わせた使い方や演出ができるのが特徴です。

会場の収容人数によっては、かなり大規模な会にも対応が可能です。

利用費用がリーズナブルなのが魅力ですが、設備が整っていないと演出にコストがかかる可能性があります。

 オンライン形式の故人を偲ぶ会

故人を偲ぶ会・お別れ会をホテル、セレモニーホール、多目的ホールなどの現実空間で行うだけでなく、最近ではインターネットの普及で携帯電話、タブレット、PCを使って、オンラインで開催するケースも増えています。

会場から中継映像をオンラインで見られるようにするものや、複数の拠点を繋いで同時開催するもの、100%オンラインで司会者も含めて善がオンラインで参加するものがあります。

参会者は、パソコンモニターに映し出される動画の中継を視ながら会に参加することになります。

「偲ぶ会」「お別れ会」のドレスコードとマナー

偲ぶ会では、参列者側が注意したいマナーがいくつかあります。参列者が困ることがないように、特に服装・香典についての詳細情報を案内状に記載しましょう。

通常、お別れ会は、葬儀のように格式ばった服装で行われることが少ないため、「平服」でよいということが多いようです。

平服は、礼服よりも自由度が高いフォーマルな服装を指します。

男女ともに喪服は選ばず、男性ならスーツ、女性ならワンピースやスカートのスーツといったスタイルが、会に参加するときの一般的な平服といえます。

とはいえ弔事なので、参加者は派手な色味の服は避けます。

「偲ぶ会」「お別れ会」には誰を招待すればよいのか?

葬儀に参列できなかった人を含めて、多くの人に故人の冥福を祈ってもらう機会を設けたいということで執り行われるのが通常です。

その趣旨からすれば、葬儀に参加いただけなかったことで、心苦しいおもいを抱いている方。故人とのお別れを希望しているであろう方を招待すべきでしょう。

儀礼的な意味より、関係性の観点からお招きする人を選びましょう。

「偲ぶ会」「お別れ会」の案内状は?

偲ぶ会に使用する案内状は、封筒のなかに「二つ折りカード+返信用のハガキ」をいれるパターンが一般的です。ほかに「単カード+返信用のハガキ」のパターンもあります。

どちらを選べばよいかは、郵送費の予算や、カードにしるす情報の量(文面)によって決めます。

返信用ハガキは出欠確認のために欠かせないものなので、忘れず同封しましょう。略式で往復はがきを使用することもあります。

開催時期が、喪が明けていない四十九日以内になる場合は、薄墨で記す、弔事用の切手をはることなどに気をくばればさらに良いでしょう。

また、最近は、オンラインでのご案内も活用されるようになってきました。オンラインの偲ぶ会の場合だけでなく、参加者の手間を考えてオンラインでのご案内を選ぶ方も増えています。オンラインの場合は、クレジットカード決済ができる、手軽に出欠を登録できるなどのメリットがあります。

案内状に記すべき内容について

  • 偲ぶ会の目的
  • 時候の挨拶
    案内状の文頭に、季節にあった時候の挨拶を記載します。
  • 感謝の言葉
    喪主や遺族が主催する場合、生前に故人とお付き合いしていただいたことに対する感謝の言葉を書きます。
  • 開催日時
  • 開催場所
    会場の住所や地図のほかに、ホームページのURLを記載しておくのが親切です。
  • 会費・香典の有無
    お別れ会の費用は、遺族が負担するか、会費制が一般的です。参加者によっては「香典を持参した方がよいのではないか」と考える人もいます。参加者に気をつかわせないためにも、案内状には具体的に会費を記載するのが親切です。香典を辞退することを伝えたい場合は、明記しましょう。
  • ドレスコード

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案内状の文面は?

案内・招待状の文例

〇〇〇〇を偲ぶ会のご案内

拝啓 初夏の候 ますますご清祥のことと拝察申し上げます

さてこの度 亡き〇〇〇〇を「偲ぶ会」を下記の通り

執り行うことと致しましたので ご臨席賜りますようご案内申し上げます

また 生前賜りましたご交誼に対しまて 故人に代わり

厚く御礼申し上げます

なお 当日は平服にてご参集賜りますようお願い致します

敬具

 令和五年六月

喪主 〇〇□□

(連絡先)

日時 令和五年七月二十三日(日) 午前十一時より

場所 △△ホテル

   (住所・電話番号)URL

会費 八千円

誠に勝手ながらご香典 ご供花 等は固くご辞退申し上げます

お手数ではございますがご都合の程を同封のはがきにて

六月十七日までにご返信賜わりたくお願い申しあげます

                             以上

「偲ぶ会」「お別れ会」では宗教はどこまで気にすべき?

そもそも、お葬式と偲ぶ会とは目的が違います。お葬式は正式な儀式であり、規則も細かく決まっていて、厳粛な雰囲気で淡々と進行するのが一般的です。

故人を弔うために行うものですから、宗教や宗派の影響が色濃く現れて厳粛なものになるのは仕方ありません。

それに対して、偲ぶ会は故人を偲ぶことを目的とし、故人の生きた軌跡をたどり、故人との思い出を紹介しあう場です。

そういったリラックスした雰囲気の偲ぶ会に、過度に宗教色を加えてしまっては会の趣旨が損なわれてしまうのではないでしょうか。

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「偲ぶ会」「お別れ会」の開催が増えている要因とメリット

故人とのお別れの場を用意できる

偲ぶ会を行うと、葬儀に参列できなかった故人の友人・知人に、故人とのお別れの場を用意できます。偲ぶ会は準備期間を十分に取りやすく、葬儀と違って関係者が余裕を持って予定を組めることもメリットです。

自由度が高く、故人の意向を尊重した形式で開催できる

偲ぶ会は宗教儀礼ではないため、葬儀のように厳格な内容にする必要はありません。偲ぶ会は自由度が高く、故人の意向を尊重した形式で開催できることが大きなメリットです。

故人の趣味をテーマにしたり、故人との思い出をスライドショーで流したり、生で楽器を演奏したりといった企画も行えます。

故人を偲ぶ会が盛んになってきた背景の一因に、コロナ禍があることは確かです。しかし、コロナ禍以前から増加傾向は顕著でした。このことは2019年の新聞記事でも指摘されています。

「新聞の訃報欄に『葬儀は近親者だけで済ませた。後日お別れ会を開く』などと書いてあるのをよく見かける。親類や友人、同僚、近所の人たちが式場に集まって故人を送る一般葬から、家族だけで営む家族葬へ、葬儀は簡素化の流れが止まらない。」2019/03/22付 読売新聞

家族葬、直葬といった葬儀の簡素化が進んでいるのは以下の3つの要因があるようです。

・葬儀の簡略化・小規模化の傾向

・宗教色の強い葬儀に対する疑問

・故人が高齢のため

葬儀の大切な意義まで亡くしたくない

社会環境の変化で今までの葬儀が見直され簡素化が進んでいます。では、伝統的な葬儀に意味はないのでしょうか。決してそうではありません。理由は2つあります。

第一は遺族の感情です。故人が生前に築いていた絆を、遺族が再確認する。葬儀を通して、愛する人の死を受け入れ悲しみを越え、さらに生きていく力を得ている、ということです。

二番目は親戚、友人、知人など故人と縁のあった人たちの心情です。つまり、故人を弔いたいという心情は親戚、友人、知人も持っていて、葬儀によって慰撫されるのは親族に限りません。そういった心情も大切にしなければならないからです。

まとめ

偲ぶ会は葬儀とは別の機会に行う、故人とのお別れをする会です。偲ぶ会は式次第の自由度が高く、葬儀に参列できなかった人に、故人とのお別れの場を用意することもできます。

家族葬や直葬などで近親者だけで葬儀を済ませた遺族が、親戚、友人、近所の方を集めて「お別れ会・偲ぶ会」を開くに際し、会の企画・会場選びから当日の運営まで専門の業者に依頼して行うケースあるようです。

通常の葬儀とは別に、故人と特に親しかった方のみで、「お別れ会」「偲ぶ会」を開く。そういった際にも、葬儀場やセレモニーセンターに依頼して開催を手伝ってもらうこともあります。

また、オンラインでの故人を「偲ぶ会」を開催する際にも、故人を偲ぶための工夫や、オンラインならではな便利なサービスが提供されています。

いずれの場合でも、しっかりと調べて信頼できる業者のサービスを選びたいものです。

葬儀に参列できなかった人を含めて、多くの人に故人の冥福を祈ってもらう機会を設けたい場合は、偲ぶ会の開催を検討すると良いでしょう。

友人が故人を「偲ぶ会」「お別れ会」を主催するやり方


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