家族葬とは、近親者のみで執り行う小規模な葬儀のことです。参列者の平均人数は23人と少なく、費用相場も99万5,000円と一般葬より安いため、遺族の負担を減らせる葬儀と注目されていて、家族葬がとても多くなっています。
当然、家族葬に参列する機会も増えてくるでしょう。そこで、家族葬に参列する場合のマナーや気をつけるべきことについて解説します。また、家族葬に参列しない場合のマナーについてもお話しします。
家族葬に参列する場合のマナー
家族葬に参列するには、一般葬と同様にマナーを守る必要があります。家族葬の場合のマナーには、以下のようなポイントがあります。
- 家族葬であることを他言しない
- 香典や供花、供物の有無を案内状や通で確認する
- 服装は黒か濃紺のフォーマルを着用する
- お悔やみの言葉は簡潔に伝える
- 会食に誘われたらなるべく出席する
特に家族葬であることを他言してはいけないのは、故人や遺族の意向や気持ちを尊重するためであり、遺族に対してマナー違反になる可能性があるからです。
例えば、家族葬に参列しなかった親戚や友人が、後から弔問に訪れたり、不満や批判を言ったりすることがよくあります。
また、他の人に家族葬だったことを話すと、参列しなかった方に不公平感や嫉妬心を抱かせることにもなりかねません。そうしたトラブルを避けるためにも、家族葬であることは他言しないのが望ましいのです。
家族葬は、故人と親しい人だけで見送る小規模な葬儀です。何よりも遺族の意向を尊重し、故人との思い出を大切にすることが大切です。
家族葬に参列しない場合のマナー
家族葬は小規模な葬儀ですから、親族や友人といえども家族葬に参列できない場合、呼ばれない場合もあります。
そんな場合でも、故人や遺族に対するお悔やみの気持ちを伝えることはできます。香典や供花、供物、弔電を送ることがそれです。
家族葬に参列しない場合のマナーは、以下のようになります。
- お悔やみの電話をする
- 香典や供花、供物、弔電を辞退していないかを確認する
- 葬儀後の弔問は避ける
- 香典を包む場合、金額の相場・目安に気をつける
家族葬香典の相場
香典に包む場合、金額の目安は、故人との関係や地域によって異なりますが、一般的には以下のようになります。
父・母や義理の父・母:5万円〜10万円
自分の兄弟や義理の兄弟:3万円〜5万円
祖父や祖母:3万円〜5万円
おじやおば:1万円〜3万円
友人や上司・職場の同僚:5千円〜1万円
友人・上司・同僚の親御さん:3千円〜5千円
家族葬供花・供物の相場
- 供花は、葬儀場に飾る花束や花輪です。供花を送る場合は、葬儀場に直接届けるようにしましょう。供花の相場は、20,000円〜30,000円程度です。
- 供物は、故人が好きだった食べ物や飲み物などを贈るものです。供物を送る場合は、遺族宅に直接届けるか、葬儀場で手渡します。供物の相場は、5,000円〜10,000円程度です。
香典や供花、供物、弔電などを辞退しているとき
家族葬では、「香典や供花、供物、弔電などのご厚志は固く辞退申し上げます」という案内がある場合は、遺族の意向を尊重して送らないようにしましょう。
お悔やみの言葉で注意すべきこと
また、仏式以外の葬儀では、「ご冥福をお祈りします」という言葉は使わないように注意しましょう。
なぜなら、仏式以外で、ご冥福を祈ります、と言うべきでない理由は、故人の宗教や宗派によっては「冥福」という考え方がないからです。²³
例えば、神道では故人の魂が神様のいる世界に還るとされるため、ご冥福という表現は使いません。キリスト教でも、死後の世界は天国か地獄かの二択であり、冥福という言葉は相応しくありません。
したがって、仏式以外の葬儀では、ご冥福を祈ります、と言うのはマナー違反になる可能性があります。代わりに、「心よりお悔やみ申し上げます」、「心よりお見舞い申し上げます」や「ご逝去を深くお悼み申し上げます」などの言葉を使うと良いでしょう。
お悔やみの気持ちを伝える
家族葬で参列しない場合でも遺族にお悔やみの言葉を伝えたいという気持ちを持つのは当然です。参列しない理由は様々あると思いますが、遺族に対しては 弔電・電話・弔問といった方法でお悔やみの気持ちを伝えることができます。
弔電の文例
弔電は、遺族に対してお悔やみの気持ちを伝える電報です。弔電を送る場合は、葬儀前日までに手配しましょう。弔電の相場は、1,000円〜3,000円程度です。
弔電を送るときの文面は、故人との関係や葬儀の宗教によって異なります。一般的な例をいくつかご紹介します。
故人が親族の場合
このたびは、〇〇(故人名)様のご逝去に謹んで哀悼の意を表します。故人様との思い出は、私たちにとってかけがえのないものです。心よりお悔やみ申し上げます。
故人が友人や知人の場合
〇〇(故人名)様の訃報に接し、驚きと悲しみで言葉もありません。故人様は、私たちにとって大切な友人でした。ご家族の皆様に心からお見舞い申し上げます。
故人が上司や同僚の場合
〇〇(故人名)様のご逝去を深くお悼み申し上げます。故人様は、私たちにとって尊敬すべき上司であり、頼りになる同僚でした。ご遺族の皆様にお悔やみ申し上げます。
故人が友人や知人の親族の場合
〇〇(故人名)様のご逝去を伺い、心よりお悔やみ申し上げます。〇〇(友人や知人名)さんとは、長年にわたり親しくさせていただきました。ご家族の皆様にお見舞い申し上げます。
電話でお悔やみを伝える
電話でお悔やみの言葉を述べる場合は、葬儀の日程や時間を確認してから、適切なタイミングを見計らいましょう。葬儀の前日や当日は遺族は忙しくしていることが多いので、葬儀後に電話するのが良いでしょう。
電話では、故人との関係や思い出を簡単に伝えた後、心からお悔やみ申し上げますという言葉を述べましょう。電話の長さは5分程度に抑えるのがマナーです。
家族葬後に弔問する際に気をつけるべきこと
家族葬に招待されなかった場合、葬儀後に弔問するとしたら、気をつけるべきことは以下の通りです。
– 葬儀からだいたい1週間以降に遺族に事前連絡をとり、弔問の可否や、都合のよい日時について確認しましょう。
– 弔問するときは、平服でかまいませんが、派手な色や柄は避けます。
– 香典は持参しないのがマナーです。故人が好きだった食べ物や飲み物、あまり大きすぎない供物や供花を持っていくことがおすすめです。
– 弔問時には、お悔やみの言葉を短く述べて、長居をせずに引き上げましょう。死因や状況などを詳しく尋ねることはタブーです。
家族葬を選ぶさいの注意点については、こちらの記事をご覧ください