日仏ハーフの歌舞伎俳優が誕生!初代尾上眞秀 襲名の初舞台で観客わかせる

尾上眞秀襲名イメージ 演劇

「異色の日仏ハーフ歌舞伎俳優誕生」と、初代尾上眞秀(まほろ、10歳、屋号音羽屋)襲名で初日から歌舞伎座は大にぎわいと各紙で伝えられています。

女優寺島しのぶさんの長男眞秀くんが、東京・銀座の歌舞伎座で初日を迎えた「團菊祭五月大歌舞伎」の昼の部「音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)」で初代尾上眞秀として初舞台を踏みました。

歌舞伎界の名門音羽屋のサラブレッド

尾上眞秀さんは歌舞伎の人間国宝、音羽屋尾上菊五郎さんの孫です。

また、眞秀さんは、フランス人の父ローラン・グナシアさんと女優の寺島しのぶさんの間に長男として生まれ、国際派の歌舞伎役者として注目されています。

今回の演目は「音菊眞秀若武者」という、岩見重太郎の活躍を描いた物語で、菊五郎さんが演出を担当しました。眞秀さんは、女童と若武者の二役を演じて、堂々とした演技で客席をわかせています。

共演者には、演出もされた尾上菊五郎さん、尾上松緑さん、尾上菊之助さん、市川團十郎さん、尾上右近さんなどの豪華な顔ぶれがそろいました。

女優寺島しのぶさんと歌舞伎ー松本幸四郎との因縁

寺島しのぶさんは、歌舞伎の名門である音羽屋に生まれました。父親は七代目尾上菊五郎さん、母親は女優の富司純子さん。弟は五代目尾上菊之助さんという、まさに芸能一家で育ちました。

寺島しのぶさんは、歌舞伎俳優になりたかったと自身述べています。彼女は、歌舞伎の家系に生まれたことで、自分の存在に対して複雑な気持ちを抱きながら子供時代を過ごしたと語っています。

『情熱大陸』では、男に生まれていたら、歌舞伎役者になりたかったと言っています。しかし、女優を志したのは、父親の親友であった太地喜和子さんの勧めだったそうです。

ということで、寺島しのぶさんは、息子の眞秀くんを歌舞伎俳優したかったと思われがちです。でもそうではなく、眞秀くん自身が歌舞伎に興味を持ったようです。

寺島しのぶさんは、眞秀くんが4歳のときに初お目見えをした歌舞伎座で、「小さいころから歌舞伎が好きでした」と言っています。

眞秀くんは、祖父の尾上菊五郎さんや叔父の尾上菊之助さんから稽古を受けており、歌舞伎に対する情熱や才能を見せています。

寺島しのぶさんは、息子の歌舞伎俳優としての門出を前に、「わが子の成長を見守る母親として、心から応援しています」と語っています。

寺島しのぶさんは、女優として活躍する一方で、息子の眞秀くんが歌舞伎役者として成長する姿を応援しているということですね。

映画女優としての活躍

寺島しのぶさんは、日本の女優として、多くの映画に出演して名声を得ています。

例えば、『赤目四十八瀧心中未遂』『ヴァイブレータ』『キャタピラー』などの作品で主演女優賞を受賞したり、『ヘルタースケルター』で助演女優賞を受賞したりしました。

また、『キャタピラー』では日本人として35年ぶりにベルリン国際映画祭の最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞しました。

最近では、『オー・ルーシー!』『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』『日本の悲劇』などの作品に出演しました。2022年には『あちらにいる鬼』で豊川悦司さんとW主演を務めています。

松本幸四郎との因縁

一方私生活では松本幸四郎さんとの関係が話題になりました。

寺島しのぶさんと松本幸四郎さんは、歌舞伎役者の家系で幼馴染でした。そして、約6年間交際していましたが、2003年に破局しました。

破局の原因は、松本幸四郎さんが関園子さんという資産家令嬢と婚約したことでした。

寺島しのぶさんは、松本幸四郎さんとの結婚を信じていたので、大きなショックを受けました。

 その後、寺島しのぶさんは自伝エッセイで松本幸四郎さんとの恋愛と破局を赤裸々に綴っています。

その後、松本幸四郎さんは関園子さんと結婚し、子供が二人います。そのひとりが若手歌舞伎役者として注目されている、市川染五郎さんです。

フランス人との結婚

寺島しのぶさんとローラン・グナシアさんの馴れ初めは、2006年に東京で開催された映画祭『東京フィルメックスフェスティバル』で出会ったことがきっかけです。

寺島しのぶさんは、ローラン・グナシアさんを見た瞬間に「この人と結婚する」と直感し、猛アタックをかけました。

ローラン・グナシアさんは、寺島しのぶさんと同じ誕生日である12月28日だったことや、彼女の演技に感動したことなどがきっかけで交際を始めました。

2007年に千葉県の海でプロポーズをしたローラン・グナシアさんと、同年に結婚した寺島しのぶさんは、現在も夫婦仲良く暮らしています。

シニアからでも楽しめる歌舞伎

歌舞伎は、日本の伝統芸能のひとつで、安土桃山時代に生まれて、江戸時代に発展した演劇です。

歌舞伎の魅力は、多彩な演目、華やかな衣装と化粧、独特の所作と声色、そして観客との一体感にあり、初めて観たひと誰もが心奪われものです。

歌舞伎には、歴史物や人情物などさまざまなジャンルの演目があり、人間の喜怒哀楽を豊かに表現しています。

歌舞伎の衣装と化粧は、役柄や場面に合わせて色や柄が変わり、見る者の目を楽しませます。歌舞伎の所作と声色は、日常とは異なる独自のルールに基づいており、感情や状況を強調しています。

歌舞伎では、観客も演者と一緒になって盛り上がります。見得や決め台詞などの見どころでは、観客が役者の屋号であったあり、代数などの掛け声をかけて応援します。

例えば、現在の市川團十郎には「成田屋」とか「十三代目」といった声がかかります。

歌舞伎は、初めてのシニアの方にも楽しめる芸術です。歌舞伎座や国立劇場などでは、イヤホンガイドや字幕などのサービスもありますので、初めてでも安心して観劇できます。

歌舞伎を観ることで、日本の文化や心を感じることができます。

いま歌舞伎は過渡期にある

歌舞伎は今、過渡期と言われていますが、その理由はいくつかあります。一つは、歌舞伎の演技や演出に関する伝統や技術が後継者に十分に伝えられていないことです。

歌舞伎は長い歴史を持つ日本の伝統芸能ですが、近代化や戦争などの影響で多くの資料や記録が失われたり、破壊されたりしました。

そのため、歌舞伎の演技や演出に関する知識や経験を持つ先輩役者から後輩役者への指導や教育が十分に行われていないという問題が指摘されています。

もう一つは、歌舞伎の人気や観客層の変化に対応できていないことです。

歌舞伎はかつて庶民の娯楽として親しまれていました。現代では高齢化や高級化が進み、若い世代や女性の観客が減少しています。

また、歌舞伎に対する関心や理解も低下しており、何か高尚なもの近づきがたいものとして敬遠される傾向があります。

そんなわけで、歌舞伎の魅力や特徴を伝えることが難しくなっています。

そこで、歌舞伎役者は新しい演目や演出を試みたり、メディアやイベントなどで積極的に活動したりして、歌舞伎の人気回復や若返りを図ろうとしています。

ワンピースやファイナルファンタジーといったアニメ作品をを舞台化するなど新しい試みが、徐々に定着し始めています。

歌舞伎は今、役者の過渡期と言われていますが、それは歌舞伎の伝統や技術を継承しつつ、時代に合わせて変化しようとする役者たちの努力の表れでもあります。

歌舞伎は日本の文化遺産としても重要な芸能ですから、これからも多くの人に支持されることを願わずにはいられません。

若手の台頭 今後のたのしみ

歌舞伎は多くの優れた役者によって支えられてきました。そんな中、ここ10数年ほどの間に十八代目中村勘三郎、十二代目市川團十郎、十八代代目坂東三津五郎、二代目中村吉右衛門、四代目坂田藤十郎がいなくなってしまい寂しいかぎりです。

一方で、中堅若手の台頭が著しく、さらに最近は梨園の若き御曹司たちが次々とデビューしています。

市川團十郎の長男勸玄くんが慎之助を襲名。尾上菊之助の息子が丑之助を襲名。

そして最近、特に注目されているのが、この5月に10歳になったばかりで、歌舞伎座段菊祭で初舞台を踏んだ初代尾上眞秀さんなのです。

いずれにしろ、孫の成長を見守る祖父祖母のつもりで、尾上眞秀と歌舞伎界の今後に注目したいものです。


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