大切な人が亡くなられてから初めてのお盆である新盆(あらぼん)。でも、どんな準備したらよいか分からない。そんな方のために、
⚫︎新盆とはそもそもどのようなもので、何をするの?
⚫︎新盆を迎えるにあたって、盆飾り、お供え物、お布施、準備しておかなくてはならないこと
⚫︎新盆を迎える時期や当日の流れ
などについて紹介します。
そもそも新盆とは?
新盆
新盆(あらぼん)とは故人が亡くなってから四十九日の忌明け後に、初めて迎えるお盆のことを指します。四十九日の法要が終わっていない場合は、翌年が新盆となります。
地域によっては「にいぼん」「はつぼん」「ういぼん」と呼ぶところもあります。
お盆は、年に一度死者が戻ってくるのを迎えるものです。毎年お盆の時期には、お墓参りをしたり自宅の仏壇の大掃除をしたり、特別なお供えをしたりします。
お盆の時期は親族が集まり、先祖の霊を慰めますが、新盆に関しては故人が仏様になって初めて家に戻ってくるので、普通のお盆よりも丁寧に盛大にお迎えします。
通常時のお盆
江戸時代のお盆は満月となる7月15日を最終日として、7月13日から7月15日までの期間におこなわれていました。
明治維新によってそれまでの旧暦から新暦に移行したことで、地域によってお盆に対する考え方が変化しました。
東京や横浜などの都市部では新暦の7月13日から15日にお盆が行われます。これを新暦盆、あるいは7月盆と言ったりします
関西、東北地方、北海道など、全国的には旧暦盆あるいは月遅れ盆といって、8月13日から15日をお盆としています。
通常、13日は「盆の入り」と言われ、先祖の霊を自宅へ迎える日になります。
盆棚を準備したり、迎え火を焚いたりして先祖の霊が自宅に戻ってくるための準備をします。
14、15日はお墓参りをしたり、親族知人を呼んで供養したりする日です。このときに僧侶を招いて法要や会食を行います。
このころ、お寺のお坊さんが暑い中、走り回るのをよく目にしたものです。
16日は「盆明け」と呼ばれ、先祖の霊を見送ります。遅い時間に送り火を焚いたり、地域によっては精霊流しなどを行ったりすることもあるようです。
新盆の時期
新盆は、故人様が亡くなられてから四十九日後(忌明け後)に迎える初めてのお盆ですので、期間自体は通常のお盆と同じです。
なお、四十九日中にお盆を迎える場合には、その翌年に新盆を行なう形が通例です。 お盆期間は、一般的には8月13日~16日の4日間である場合が多いですが、地域によっては7月13日~16日の4日間で行なわれることもあります。
新盆の時期は通常のお盆の時期と変わりなく、全国的に多くの地域でお盆といえば、「旧盆」である8月13日~16日のことを指します(一部の地域では「新盆」である7月13日~16日がお盆にあたるところもあります)。
全国的には8月15日前後が一般的です。
新盆のお供えの時期は、ほぼ全国的には8月13日~16日のお盆の時期が一般的ですが、関東(東京・神奈川)や北海道・沖縄の一部の地域では今も旧暦のまま7月13日~16日に行われる場合もあります。
地域によって異なりますので事前に確認をしておきましょう。
新盆を催す場所
新盆を催す場所に決まりはありません。以下の場所で行われることが多いようです。お寺や斎場で法要を行なって、自宅や飲食店で会食するといったことも多いようです。
- 自宅
- 斎場
- 菩提寺
新盆の計画と準備
新盆の計画と準備はおおむね下記の順番で進めていきます。
法要をする日程を決めます
参列してもらいたい人を決めて、連絡をする。
会食に参加できるかの確認も忘れずにしましょう。
僧侶の手配をする
お盆の時期は忙しいので、早めに連絡をしておくことが重要です。
会食の手配をする
自宅で行う場合は手料理かお弁当を発注するかを決めます。
香典返しや引き出物の準備をする
香典返し引き出物については、遅くとも法要の2週間前までには注文をしておきましょう。
盆棚の準備をする
位牌、お線香、香炉、お花などの必要なものを揃えます。
法要の案内状を作成し、送付する
往復はがきや電話番号の記載も忘れずにしておきます。
僧侶へのお礼となる「お布施」を用意する
僧侶へのお礼である「お布施」は「御経料」と言う場合もあります。前日までの用意をしておきましょう。
葬儀の際の香典は新札だと失礼にあたると言われますが、お布施については新札でも古いお札でも問題はありません。
ただ、事前に準備できるので、新札のほうが良いとされています。
ここまでが、初盆・新盆の一般的な準備の流れです。
案内状の書き方の注意点
新盆に招待する方には案内状を送ります。注意すべき点がいくつかあるので、解説します。
毛筆縦書き
案内文は縦書き昔は毛筆で縦書きでしたが、現在は縦書きと横書きが混在しています。
案内文は儀礼的な場面ですので、従来の慣習に従い縦書きで書く方が良いでしょう。
句読点と字下げ
句読点はつけない句読点は文章を読みやすく区切る意味でつけます。
諸説ありますが、儀式の流れを止めることなく執り行われるようにと、句読点はつけないように書きます。
冒頭1文字は下げずに書く句読点同様に儀式の流れを止めず、滞りなく行う意味があります。
忌み言葉
忌み言葉は使用しないように気をつけましょう。
忌み言葉とは、「ますます」「くれぐれ」など繰り返し言葉や4(死)、9(苦)などの不幸を連想させる言葉のことを指します。これらの言葉は法要などの場で使用してはいけません。
数字の書き方
縦書きである案内文では数字は漢数字を使用します。
新盆に用意するもの
盆飾り・棚飾りのための盆棚・精霊棚
盆棚・精霊棚はご先祖様の霊をお迎えして、そこで安らかになって頂くために用意する棚のことです。故人様の生前好物だったものや好きだったお花、お位牌、精霊馬などを祀って盆飾り、棚飾りとします。
地方や地域、宗派によって盆棚・精霊棚の飾り方や祀るものの有り無しが違いますので、迷ったらご近所やお寺に確認することです。
キュウリやナスなどの精霊馬
精霊馬はご先祖様があの世からこの世に帰ってくる際の、お迎えをするために供えられます。
また、この夏の収穫を報告する意味合いも含めており、夏野菜であるキュウリとナスが使われます。
キュウリは馬、ナスは牛にそれぞれなぞらえています。
盆提灯
盆提灯は先祖や故人の霊が帰ってくる時に迷わないようにと仏壇や盆飾りの前におく仏具です。
新盆では絵柄のついたものではなく白提灯を用意します。
故人様が初めて迎えるお盆において、霊が帰ってくるのを清浄で無垢な白提灯でお迎えする、という習わしがその理由です。
盆提灯は1個だけで飾るものではなく、2個を対にして飾るのが風習となっています。
迎え火、送り火
お盆初日に日中お墓参りをしてから、夕方に迎え火を焚いてご先祖様をお迎えします。
お盆最終日の夕方に、ご先祖様を送り出す送り火を焚きます。
京都五山の送り火は全国的にも有名ですね。
なるべく遅い時間に送り火を焚き、祖先の霊を見送ります。
地域によっては「精霊流し」や「灯籠流し」を行います。
迎え火、送り火につかう材料
迎え火、送り火にはおがらというものを使います。おがらは古くから松明や茅葺屋根の下地などに使われてきました。
迎え火を焚くとき、ほうろくと呼ばれる素焼きの皿の上で行います。
お供物
地域や宗派、お家によってしきたりが決まっていることがあります。事前に確認しておきましょう。
お供え物は原則的に精霊棚にお供えします。その際は、「五供」と呼ばれる5つを用意します。
「五供」とは、
⚫︎ お線香を指す「香」
⚫︎ ご先祖様や故人様にお供えする「花(供花)」
⚫︎ ロウソクに火を灯すことを指す「灯燭(とうしょく)」
⚫︎ 綺麗なお水である「浄水」
⚫︎ 食べ物を指す「飲食」(おんじき)
を言います。
棚には真菰(まこも)を敷き、四隅に葉の付いた青竹をくくり付け、竹の上の方にしめ縄を張っておきます。位牌の裏側にあたるしめ縄には、素麺や昆布、ホオズキをぶら下げるのが典型的な飾り付けです。
盆棚(精霊棚)のお供えや水は毎日交換するようにします。
法要
新盆には菩提寺にお願いして、お経をあげてもらう新盆供養を行います。
初盆と一周忌をまとめて執り行う場合でも、そのことを明記した案内状を1ヶ月~2ヶ月前には出しておきます。
お布施の相場と表書き
お布施、御膳料、お車代の相場
僧侶を招いて法要を営む場合は、お布施が必要となります。
地域や宗派などによって異なりますが、一般的には3万円から5万円が新盆(初盆)の法要に対するお布施の相場とされており、通常のお盆(相場は1万円程度)より多めに包むことになります。
他の法要と同様、お布施の他に御車代として5千円から1万円程度を、御膳料として5千円から2万円程度を包んで僧侶にお渡しします。
ただし、法要後の会食に僧侶も参加された場合は、御膳料は必要ありません。
新盆のお布施の表書きは?
お布施を包む際には無地の白い封筒を用い、表には何も書かずにお渡ししても構いません。
表書きを記す場合は上半分に「御布施」または「御経料」と書き、その下に施主名をフルネームで書きます。
「〇〇家」と書いても構いません。 香典のように薄墨は使わず、普通の黒墨を使い、裏面には氏名と住所、包んだ金額を記載します。
新札を包むのが望ましく、お札の表面が上になるように包みましょう。
僧侶がお帰りになる際に、お盆(なければ袱紗=ふくさ)の上にお布施を乗せてお渡ししましょう。
法要の後に会食
法要の後には、招待客や僧侶のために会席を設けます。
会食仕出し屋さんで料理を注文して自宅で会食をしたり、レストランや食事処を予約して飲食するのが通常です。
香典のお返し(香典返し)
新盆(初盆)の法要に参列した親族や知人から、「御仏前」や「御供」として香典(御提灯代)やお供え物をいただいた場合のお返しですが、一般的にはいただいた金額の半分から3分の1程度の品物を持ち帰ってもらいます。
誰がいくら包んでくれるかを事前に知ることはできないので、およそ2千円から3千円程度の返礼品を事前に用意しておき、1万円を超える金額を包んでくれた方には、後日あらためて追加の品を送ります。
地域によっては法要後の会食がお返しに当たるため、あえて品物を用意する必要はなく、会食をしない場合にのみ、お酒や仕出し弁当などを持ち帰ってもらうというところもあるようです。
お返しの品物として好ましいのは消耗品(消え物)です。 いつまでも品物が残っていると、故人が亡くなった辛い気持ちを引きずってしまいます。
そのため、新盆のお返しによく選ばれるのは海苔、そうめん、お茶、洗剤、石鹸、調味料、お菓子などです。
食べ物を選ぶのであれば、なるべく日持ちするものが良いでしょう。
なお、追加でお返しを送る場合や、法要に参列できず香典やお供え物を送ってくれた方にお返しを送る場合は、お盆が明けてから月末までに送るのが望ましい、と言われています。
新盆に招かれた時に注意すべきことをまとめてみました。こちらの記事もご覧ください。