一周忌法要とは、故人が亡くなってから初めて執り行われる年忌法要のことです。
故人が亡くなってから一周忌までを喪中とすることが多いため、一周忌法要は遺族にとって大きな節目になる法要と言えます。
そこで、一周忌の当日、法要をどのように行えばよいのか、具体的な流れに沿って説明します。また、喪主の挨拶例、僧侶を手配する時のお布施の相場、香典のお返しの相場などについても紹介します。
一周忌法要の流れ
一周忌のやり方はそれぞれ異なりますが、ここではもっとも一般的な進行、流れについて見ていきます。一周忌当日の流れは以下の通りです。
僧侶の入場
施主より開始の挨拶
施主から開始の挨拶を行います。なおこの前に僧侶入場の時間がとられることもありますが、それほど大規模ではない法要・法事の場合は、最初から会場内に僧侶がいることもよくあります。
僧侶の読経
僧侶の読経が行われます。
焼香
基本的には前に座っている人間(故人との関わりが深かった人)から焼香をしていきます。一般的な焼香は、立ち上がる→焼香台の前に行く→焼香をする→自分の席に戻るというものです。
僧侶の法話
僧侶から法話を聞きます。死生観に関わる話が多いかと思われます。僧侶はこの法話の後に帰る場合もありますが、食事まで付き合うケースも多くみられます。
納骨お墓参り
お墓参りに行きます。一周忌では特段の事情がない限りこの行程が含まれますが、お墓が遠方にある場合やまだお墓を持っていない(あるいは新しいお墓であり、納骨を済ませていない)場合はこの限りではありません。
納骨は四十九日までに済んでいる場合が多いので、一周忌で行う事は少ないです。一周忌のタイミングで納骨を行う場合は、納骨式も行われます。
施主から僧侶へのお礼・終わりの挨拶
施主から挨拶を行います。また、食事をとるところへ移動します。挨拶に関しては、食事が終わった後に行うこともあります。ここで僧侶が帰られる場合はここでお布施を渡します。
食事
場所を移動し、食事を行います。法事の際の食事をお斎(おとき)と言います。
食事の前に、施主から簡単な挨拶が行われることもあります。
お布施を渡す
僧侶がお帰りなる際に、お布施をお渡しします。
お金を入れる袋は、半紙の中包みに入れたうえで、奉書紙で慶事の上包みの折り方をするのが最もていねいな形ですが、市販の白封筒でもかまいません。
ただし、郵便番号欄のない無地のものを選びます。表書きは、薄墨ではなく普通の黒の墨で書きます表書きは「お布施」とします。
香典袋は使用せず、白い封筒に入れてお渡しします。袱紗(帛紗)に包んで渡したり、小さ目のお盆に乗せて渡したりするのが正式なやり方です。
法要のさいのお布施の相場
僧侶にお渡しするお礼は、お布施(お経料)、お車代のほか、僧侶がお斎を辞退した場合には御膳料を用意します。一周忌では、以下の金額が相場のようです。
⚫︎ お布施(読経してもらう場合) 30,000円~50,000円
⚫︎ お車代(お寺以外で行う場合) 5,000円~10,000円
⚫︎ 御膳料(食事に参加しない場合)5,000円~10,000円
一周忌法要の引き出物、香典返し
周忌の場合でも供物料・香典を頂くのであれば、引き出物(香典返し)を用意しておき、参列者にお渡しします。
基本的には頂いた金額の半分から1/3程度でお返しをするのが相場ですが、お斎(おとき)つまり会食を用意している場合はその分お返しは少なくても良いとされています。
実際の金額は、2,000円から5,000円のものが多いようです。
一周忌法要の挨拶例文
施主は挨拶を数回行うことになりますので、事前に内容を考えておきましょう。次に挨拶の例文が紹介していますので、参考にしてください。
一周忌で一般の参列者も呼ぶ場合は、開始時と終了時に挨拶を行います。難しく考えられやすいですが、要点をまとめて伝えるだけでも大丈夫です。
開始時の挨拶例
「本日はお忙しい中お集まり頂きましてありがとうございます。それではこれより(戒名)の一周忌の法要を始めさせて頂きます。本日は○○寺の住職である○○様にお願いしております。それでは○○様お願い致します。」
この時の故人の呼び方は、氏名ではなく戒名で呼ぶのが正しい作法です。
参列者に挨拶をし、僧侶にも挨拶と一礼をした後読経と焼香が始まります。
焼香が全員終わった段階で、終了時の挨拶を行います。
終了時の挨拶例
「本日はおかげ様で故人の一周忌法要を無事終える事ができ、故人も安心している事と思います。皆様にはこれからも変わらぬご支援の程よろしくお願いいたします。
簡単ではございますが、お膳を用意させてもらいました。お時間の許す限りゆっくりとなさってください。本日はまことにありがとうございました。」
終了時の挨拶では、お礼とお斎の案内をする事が多いようです。その後会場へ案内をして、法要は終わりとなります。
一周忌法要の服装
一般的に、一周忌の場合は、施主や親族は正礼装か略礼装である喪服が一般的です。
男性の場合
男性の場合は喪服に黒い革靴、黒いネクタイと黒い靴下、そして白いシャツを選びます。
女性の場合
女性の場合は黒いワンピースなどが最適です。そこに黒い革靴と黒いストッキング、黒いカバンを合わせます。アクセサリーは基本的にはつけないようにします。
ただし、真珠(黒真珠も白真珠も可)のアクセサリーと結婚指輪はつけても構わないとされています。真珠のネックレスを使う場合は、二連になっているものではなく、一連になっているものを選ぶようにします。
子供の場合
制服がある場合は制服を、ない場合は上下モノトーン調で揃えます。また、子どもはローファーや、派手な色ではないスニーカーを履いても構いません。
ただ、これはあくまで「服装の基本」です。
「ごく近しい人でしか集まらない」「格式ばったやり方を好まない」という意向をご家族が示しているのであれば、黒い地味な服装をまとって一周忌法要を行うこともあります。
一周忌法要その他の持ち物の準備
一周忌法要のときに必要となる持ち物の準備をします。
遺影
遺影は必ず持参しなければいけないわけではありませんが、あれば持参しても良いでしょう。
もっとも遺影の場合、「葬儀のときに作ってもらったものでなければならない」という決まりがあるわけではありません。
「後でもっと良い写真・故人らしい写真が出てきたので、こちらでお見送りをしたい」と考えている場合は、新しい遺影を使っても構いません。
位牌
遺影も重要ですが、位牌はそれ以上に重要なものです。これは一周忌法要のときに必ず必要になるものです。
仏教の葬儀においては、白木の仮位牌を使います。しかしこの「仮位牌」は、四十九日法要のタイミングで本位牌(黒塗りのものなど)に変わっているはずですから、一周忌の場合は本位牌を持っていくことになります。
お布施
お布施も用意します。白い袋に入れて用意しておきます。
お供え物
果物やお花を用意します。ただし、お墓には果物をお供えしっぱなしにはできないと考えておいてください。また、お菓子などを用意する場合もあります 。
お花は、白いもの~淡い色合いのものを用意するのが基本です。
しかし葬儀の席でも、「故人の愛したお花でお見送りする」という考え方がありますから、故人が特別に好きだった花があるのであれば、それを使うのもよいでしょ
う。
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