「無縁墓」「無縁遺骨」さらに「墓じまい」「離檀料」など、短期間にお墓に関する問題を話題にしてきた羽鳥慎一モーニングショー。先週に引き続いて10月2日月曜日には「仏壇じまい」「位牌じまい」「散骨」が取り上げられました。
「墓じまい」を考えている人の中には、実家の解体や転居にともなって仏壇や位牌をどうすればいいのか、という問題を抱えている方も多いようです。
「仏壇じまい」「位牌じまい」のやり方やかかる費用、さらに「仮想空間上での供養」「バルーン宇宙葬」などについて番組に取り上げられたものを紹介し、不足しているものは補足しながら解説していきます。
番組のゲストは先週に引き続き、熊谷市にある曹洞宗の見性院住職の橋本英樹さんと、シニア生活文化研究所の小谷みどり所長です。
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仏壇じまい
前回、前々回の放送後に、視聴者から質問が殺到したのは仏壇じまい・位牌じまいについてだったそうです。
実家の家屋解体とともに仏壇も処分しなくてはいけなのですがやり方がわかりません
墓じまいもそうですが、仏壇じまいも子どもがいないなどでどうしたものかと思ってしまいます
仏壇じまいをしたいと考えていますが方法と費用はいくらくらい必要でしょうか?
今度仏壇じまいに関するパネルコーナー待ってます!
仏壇の意味
そもそも仏壇とは信仰の中心となるご本尊様(お仏像)を祀るための場所(台)のことです。寺院にある「内陣(ないじん)※ご本尊を安置してある本堂のこと」を小さくして一般家庭に持ち込むために作られましたものです。ですから、仏壇は「家の中にある小さなお寺」といえます。
「本来の意味からすれば、ご本尊たる仏像がなくて位牌だけがあるのは仏壇ではないことになる」というのが、見性院住職の橋本英樹さんの意見でした。
仏壇の本来の役割は「家の中にお寺を設けてご本尊をお祀りし、信仰すること」にあったということです。
ところが江戸時代に、寺請制度が整備されたことによって、庶民の間でも故人に戒名を授かるようになり、戒名が書かれた位牌を祀るために庶民の間にも仏壇が普及していったといわれています。
現代においてはさらに宗教観が変わってきて、お仏壇の役割は信仰よりも、「ご先祖様や亡くなった方のご供養をするため」という考え方が一般的になってきています。
このように信仰の対象(仏像)がいらっしゃる場という意識がなくなって、仏壇を処分することに対しての心理的な障壁はだいぶ低くなるのは当然だと思います。
仏壇じまいのやり方
番組が取材した仏壇じまいのやり方が3つ紹介されました。
お寺に相談
「閉眼供養」などの供養をして仏壇を引き取ってもらう方法があります。
費用相場:1万円〜10万円ほど (お仏壇のはせがわへの取材)
京都の仏具協同組合では、引き取られた仏壇や仏像を法要の後にお焚き上げ供養しています。下記のサイトでは仏壇供養会で、仏壇供養をした後に境内でお焚き上げをする様子が紹介されています。 京都府仏具協同組合への取材
仏壇・仏具店に相談
お仏壇のはせがわの場合は自宅まで仏壇を回収に行き、他の仏壇とまとめて僧侶が読経・供養をするそうです。
費用相場:2万円〜8万円ほど (お仏壇のはせがわへの取材)
自治体で引き取り
各自治体で廃棄物(粗大ゴミ)として処分することも可能です。詳細は各自治体に問い合わせてください。
費用相場:500円〜2000円ほど (お仏壇のはせがわへの取材)
専門業者に依頼する
上記の3つの方法以外にも、仏壇供養を専門とする業者に依頼するというやり方もあります。
関西地区の仏壇供養の一休 butsudankuyou-ikkyuu.com
首都圏展開のえこらいん butsudan594.com
僧侶が運営する仏壇処分の豊恩 hou-on.co.jp
位牌じまい
仏壇には通常、位牌(いはい)が祀られています。位牌にはどういった意味あるのでしょうか。
位牌とは、仏教の伝統的な仏具で、故人を供養し、その霊を祀るために使用される木の札で、故人の戒名(法名、法号)と没年月日、俗名、行年(享年)が記されています。
通常は自宅の仏壇やお寺の位牌壇に安置し、故人の霊をお祀りしています。
位牌の起源は中国の儒教にあり、宋代に中国仏教(禅宗)に取り入れられた後に、鎌倉時代以降に禅僧を通じてもたらされたそうです。位牌は霊がこの世に戻ってきた際に宿る依代(よりしろ)としての意味合いが強いと言われています。
依代というのは霊などにとって仮の宿みたいなモノです。
位牌がなければお盆などに宿るところがなくなってしまいますので、各宗派で必要とされているわけです。(浄土真宗は別です)
このように位牌が大切なモノであり、疎かにできないということで、位牌じまいはどうすればいいのか、という質問が番組にも寄せられました。
我が家には何代も前からの位牌がたくさんあります。仏壇も狭いです。どうすれば良いのでしょうか? 困っています。
我が家には仏壇に位牌が12本ありますが、両親・祖父母以外はまったく知らない人たちです。 位牌じまいはできますか?
位牌じまいのやり方
過去帳にまとめる
過去帳というのは、故人の情報が記載された帳面であり、故人の戒名(法号・法名)、俗名、歿年月日、享年などが含まれます。
過去帳は、故人への供養の際に参照され、家族の系譜や歴史を追跡するためにも使用されます。
過去帳への記入は、亡くなった方の身内の人間が記入しても問題ありませんが、多くの方がお寺の住職に依頼されます。また仏具店やプロの書家の方に依頼する人もいます。
仏具店に依頼する場合はひとりぶんにつき1500円〜5500円ほどで文字入れしてくれます。
浄土真宗などでは特に、故人への供養や先祖代々の家系を記録するために重要とされています。
位牌と過去帳の違いは
位牌は故人の霊を祀るためのものであり、過去帳は故人の情報を記録するためのものです。
浄土真宗では位牌を祀らず、代わりに過去帳を使用します。
先祖代々の位牌に合祀
位牌には戒名が書かれた個人のものと、「○○家先祖代々の霊位」と書かれたものがあります。原則的には個人の位牌は三十三回忌を過ぎたらお焚き上げをして、先祖代々の位牌に合祀します。
位牌のお焚き上げ
過去帳に転記したり、合祀によって不要となった位牌はお寺に依頼して、お寺で閉眼供養してお焚き上げしてもらいます。
費用相場 : 1万円〜10万円ほど お仏壇のはせがわへの取材
散骨のやり方と注意点
質問が多かったのは散骨に関するものだったそうです。
希望者急増でルールや費用を知りたい人からの質問が多かったようですが、まず散骨経験者から「散骨」して良かったという意見が紹介されました。
散骨を経験した人からの意見
一人娘に迷惑をかけたくないので東京湾へ散骨し手元供養の品も作った。いつでも自宅で手を合わせられるし海を見て語りかけることもできる。モノを手放すと気持ちは軽くなる。
父が20年前に亡くなった生前「自分の死後は散骨してほしい」と書き残していたので父の希望通り海へ散骨した。母や私の姉弟親戚で散骨に対してそれぞれ意見の違いはあったが、本人の気持ちに沿うのが一番ではないかと話あい、今ではそれで良かったと思っている。
散骨の件数
散骨のなかでも海洋散骨の件数は年々増加しています。
2018年に1049件だったものが、2022年には2387件と4年で2.2倍になっています。
散骨の件数は今後も伸び続けることでしょう。それは、葬儀の後に埋葬はせずに、すぐ散骨するケースだけでなく、墓じまいして取り出した遺骨を散骨するケース増えると予想されるからです。
日本海洋散骨協会 加入企業の施工件数
散骨の定義
そもそも散骨とはなんでしょうか、実は散骨は明確に「墓地埋葬法」に規定されていないんです。
決まったルールはないので散骨する方法はかなり自由度の範囲が広いと言えます。遺骨すべてを散骨することも可能なのですが、一部のみの散骨もあります。
番組でも紹介されていましたが、コメンテーターの石原良純氏の父親である石原慎太郎氏も亡くなった後に海洋散骨が行われています。
ただし、これは石原慎太郎氏の意思によるもので、散骨されたのは遺骨のごく一部だそうです。残りの大部分は墓所に埋葬されたようです。
厚労省から事業者向けのガイドラインによりますと、散骨とは「墓地埋葬法」に基づき適法に火葬さされた後、その焼骨を粉状に砕き「墓地埋葬法」が想定する埋葬や収蔵以外の方法で陸地や水面に散布・投下する行為であるとされています。
散骨の制限
散骨を行うにあたってはいくつかの制限があります。特に場所は限定されます。
陸上の場合はあらかじめ特定した区域(河川や湖沼を除く)で行う
海洋の場合は海岸から一定の距離以上離れた海域で行う
さらに関係者への配慮が求められています
地域住民や周辺の土地所有者、漁業等の関係者の利益、宗教感情等を害することのないように
とされています。
厚労省HP:散骨に関するガイドライン(事業者向け)
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自宅の庭への散骨
自宅の庭への散骨については東京都HPに以下のように記載されています。
人骨に対する感情は人により様々。焼骨をまけば風で飛ばされたり住まいのそばに骨がかまれたということで気分を害する人も出てくる。
なお個人が庭などに墓地を作ることは法令上認められていません。
散骨のやり方と費用
海洋散骨の際には焼骨を粉状に砕かなければなりません。
ほとんどの場合は散骨業者に遺骨を持ち込み、専用の機械で粉状にします。
海洋散骨の費用は
家族ではなく業者が散骨する場合: 3万円〜10万円
乗り合わせの合同散骨の場合: 10万円〜20万円
船を貸し切っての散骨の場合: 20万円〜50万円 (日本海洋散骨協会への取材)
葬送の方法は地域差が大きいといえます。散骨は地域の実情に応じて様々な形で規制をかけていたりするので、基本的に散骨しようとしている場所の自治体に相談してもらう形になる。(厚労省の担当者)
自治体によっては散骨を禁止しているところもありますので注意が必要です。
散骨を規制する条例については下記のサイトを参考にしてください。
散骨にかかる費用の詳細についてはこちらの記事をご覧ください↓
仮想空間を利用した新しい供養の形
前回、前々回の墓じまい特集が大反響で、墓じまいの話題が羽鳥慎一モーニングショーの冒頭に、新しい試みとして仮想空間を活用した供養が紹介されていました。
オープニングには供養の方法の新しい形として、バーチャル法要、デジタル墓が紹介されました。
バーチャル法要
バーチャル法要は仮想空間上で参列者のアバターが法要に参列するというものです。
オンライン配信ででお別れ会や偲ぶ会、または葬儀を行うというサービスはこれまでもありましたが、仮想空間でアバターが礼拝したり、焼香するというのは聞いたことがありませんでしたので正直おどろきました。
スマホ墓参り
デジタル墓 QRコード読み取りで仮想空間上の墓を表示します。名前・遺影・思い出のレシピなどが見られるのが特徴です。
スマートシニアが提供し、料金は 1万4800円〜
今年8月からサービスを開始しています。
新しい形の散骨
また、新しい形の散骨として「バルーン宇宙葬」という形の散骨が紹介されました。
「バルーン宇宙葬」とは遺灰をバルーンに入れ空に飛ばすもので費用は役26万円だそうです。
遺灰が入ったバルーンは時速100kmで上空へ揚がり成層圏で破裂して散骨するというのです。
LINEで番組に寄せられた意見・質問
Q. 両親が亡くなりました。父の家系の過去帳が残っていますが、正直知らない人ばかりです。過去帳はどう保管しておく必要がありますか?
A. 過去帳は人に見せ得るようなモノではないので、仏壇の引き出しや経机の引き出しなど、大切に保管できる場所にしまっておきましょう。
Q. ペットの猫と一緒にお墓に入りたいです。叱られるかな?
A. 管理者次第です。
Q. お坊さんとそりが合わなくて困っています。どうすればいいでしょうか?
A. お坊さんも人間、檀家さんも人間ですからソリが合わないこともあります。無理をしなくてもいいです。どうしても話し合わなければならない時は、行政書士さんなどに依頼することも可能です。
Q. 私は結婚し実家を離れていて実家の墓を継ぐ人がいない夫の墓に私の実家の墓の遺骨を一緒に入れることはいけないことでしょうか
A. 別にいけないことではありません。両家墓といって、ご両家のお墓を一つにまとめたものがあり、昔からあるお墓の形式です。一つの区画に両家のお墓を建てるか、一つの墓石に両家の家名や家紋を入れるのが一般的です。
Q. 実家の墓石は一枚岩で石碑のようなお墓です。永代供養の際に墓石撤去の費用は大きさで決まると聞いたのですが本当ですか?
A. 墓じまいの墓石撤去費用は墓石の体積で決まるのが基本です。
Q. 先日母が亡くなりました 400年近く続いてきた家なので昔から墓石がたくさんあり多くが土葬です。墓じまいをするのにも先祖代々の遺骨を掘り起こしてもいいのでしょうか。
A. 掘り返すことに問題はありません。だだ、土葬がかなり昔の場合は、お骨はすでに土に還っている可能性が高いので、掘り返して拾い上げるのは困難かもしれません。
その場合は、お墓の土を遺骨の代わりに一握り分を回収して改葬すればよいでしょう。
墓じまいの費用が払えない場合の対処法についてこちらで解説しています。
前回、前々回までの羽鳥慎一モーニングショーの内容についてはこちらをご覧ください。
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